高配当つみたての方針

高配当株はなぜ50銘柄? 私が32銘柄から50銘柄に増やした理由(安定35+成長15)

公開日 2026/10/11(日)   株人(かぶと)
株人株人
今日は点検ではなく、大事な決めごとの話だ。配当目的で積み立てている高配当株を、32銘柄から50銘柄に増やすことにした。毎月の投資額は16万円のまま変えない。
ベアベア
株人さん、50銘柄って多すぎないかな……? 1つ1つの金額が小さくなるし、全部見きれなくなっちゃいそう。
ブルブル
いやいや、どうせなら100銘柄にしちまおうぜ! 分散は多いほど安全なんだろ?
ベアベア
100銘柄なんて、ちゃんとした会社をそんなに見つけられるのかな……。
株人株人
2人とも、ちょうど私が悩んだところを言ってくれた。少なすぎず、多すぎず。なぜ「50」なのかを順番に話そう。結論は先に書いておく。
私の結論:高配当株は50銘柄 2026年10月に決定
  • 安定枠35銘柄+成長枠15銘柄(金額は70%:30%)。毎月16万円を50銘柄に均等に、1銘柄あたり月3,200円
  • 点検の手間もコストも銘柄数で増えない。だから問いは「分散は何銘柄まで効くか」だけ。日本株の研究でテールリスクの基準が約50銘柄
  • 100銘柄にしないのは、質の高い候補には限りがあるから。危機の同時減配は銘柄数では消せないので、50から先は「質」と「業種の分け方」で守る

ここからは、50銘柄に決めた理由を7つの項目で書いていく。全部「配当が長く続き、増えていくか」の目線だ。

1. 高配当株は「放置」ではなく「点検」が要る

全世界の株に広く投資するインデックス(いわゆるオルカン)なら、買ってそのまま持っていればいい。だが高配当の個別株は違う。会社が業績を落とせば、配当は減る。

だから私は、持っている銘柄を毎月1回、配当の目線で「安心/注意/要再考」の3段階で点検している。それがこの 保有銘柄の月次点検 だ。一覧で見れば、信号のように一目で状態が分かる。

ブルブル
この仕組みがあるなら、銘柄が増えても見落とさないってことだな!
株人株人
そうだ。点検の手間は、30銘柄でも50銘柄でも100銘柄でも同じになった。「管理しきれないから絞る」という理由が、私には無くなった。

2. 銘柄を増やしてもコストは増えない

私は楽天証券の「かぶピタッ」(金額を指定して買う)と「かぶミニ」(1株から買う)を使っている。かぶピタッのコストは買付金額の0.22%で、銘柄ごとに決まった手数料は無い。

銘柄数1銘柄あたり(月)月のコスト(0.22%)
32銘柄(今)5,000円約352円
50銘柄3,200円約352円
100銘柄1,600円約352円

投資する金額が月16万円で同じなら、何銘柄に分けてもコストは同じ。銘柄数を増やすと、1銘柄あたりの金額が小さくなるだけだ。

注意:1株に満たない分(端株)は、株主優待と議決権の対象外になる。私は配当が目的なので、ここは割り切っている。

3. 分散の効果は何銘柄で頭打ちになるか

手間もコストも銘柄数に関係ないなら、残る問いは一つ。「分散の効果は、何銘柄まで意味があるのか」だ。

研究分かったこと
Evans & Archer(1968年)銘柄を増やすほど個別のリスクは減り、10銘柄前後で大半が取れる、という定説のもとになった
Statman(1987年)十分に分散するには、少なくとも30〜40銘柄が要る
Alexeev & Tapon(日本株を含む5か国)日本株で分散できるリスクの9割を取り除くには、値動きのブレの基準で約39銘柄、まれに起きる大きな下落(テールリスク)の基準で約50銘柄
Domian ほか(2007年)20年持つ場合の目標割れのリスクは、100銘柄を超えても下がり続ける
ベアベア
39と50、どっちを選べばいいのかな?
株人株人
私が持つのは配当のためだ。怖いのは毎日の値動きではなく、めったに起きない大きな打撃のほう。だからテールリスクの基準の「50」を採った。

4. 1社の減配が、配当全体をどれだけ減らすか

配当で考えると、銘柄数の意味はもっとはっきりする。全銘柄に同じ金額を入れているとして、1社が減配・無配になったときに配当全体が減る割合はこうなる。

銘柄数1社が配当を半分に1社が無配に
10銘柄−5.0%−10.0%
20銘柄−2.5%−5.0%
32銘柄(今)−1.6%−3.1%
50銘柄−1.0%−2.0%
100銘柄−0.5%−1.0%

32から50に増やすと、1社の事故の打撃は3.1%から2%に下がる。50から100に倍増しても、下がるのはあと1ポイントだけだ。

5. では、なぜ100銘柄ではないのか

理由1:質の高い候補には限りがある

利回りだけで探せば、高配当株は日本に何百社もある。だが「配当を大事にする方針がある」「減配の歴史がない」「配当を払い続ける体力がある」まで求めると、候補は一気に少なくなる。100銘柄にしようとすると、条件の甘い銘柄を入れざるを得ない。分散のために質を落とすのは本末転倒だ。

理由2:危機のときの減配は、銘柄数では消せない

コロナ禍の2021年3月期、日経平均に採用されている3月決算の187社のうち56社(約3割)が減配を予想していた(大和総研の調べ)。危機は一斉に来る。これを防ぐのは銘柄数ではなく、業種の分け方と、一社一社の配当の体力だ。

ブルブル
なるほど、100にしても危機のときは一緒に減るってことか……。
株人株人
そう。だから銘柄数は50で止めて、そこから先は「質」と「業種」で守ることにした。

6. 安定枠と成長枠 ― 70%:30%

枠どんな会社か例銘柄数
安定枠成熟していて体力があり、これから大きく衰えも伸びもしない。配当を安定して出し続けるNTT、花王、日清食品35(70%)
成長枠事業がまだ伸びている途中で、利益と配当がこれから大きく増えていく「金の卵を産むガチョウ」ERIホールディングス15(30%)

大事なのは、今の配当利回りの高い低いで分けないこと。今は日本株が全体に高く、株価が上がって利回りが一時的に下がっているだけの優良企業も多い。見るのは「会社が配当を大事にする方針か」と「配当を払い続ける体力があるか」の二つだけだ。

配分は試算で決めた。安定枠の利回りを4%・増配率を年2%、成長枠の利回りを2%・増配率を年8%と仮定すると、20年間に受け取る配当の合計は、安定100%でも70:30でもほとんど変わらない。それでいて20年後の年間の配当は、70:30のほうが約2割厚くなる。

配当目線での読み方:最初の20年の受け取りをほとんど減らさずに、その先を太くできる。成長が期待外れでも、主力の安定枠70%が受け止める。ただしこれは仮定を置いた試算で、将来を約束するものではない。

7. 守るルールと、新しく加える20銘柄

1業種の上限15%(50銘柄なら7銘柄まで)
1銘柄の上限3%
景気に左右されやすい業種海運・鉄鋼・資源・自動車は合計20%まで
金融銀行・保険・リースなどは合計20%まで(今回は8銘柄・16%)

今の32銘柄を会社の段階で分けると、安定25・成長7だった。このうち、配当利回りが1%前後の2銘柄(日本酸素HD・味の素)は外す。枠は利回りで分けないが、配当を受け取るためのつみたてで、利回り1%前後では配当の柱にならないからだ。残る30銘柄に、安定枠12銘柄、成長枠8銘柄を加えて50銘柄にする。どれも、過去10年の配当の推移と、最新の決算短信の配当予想・配当性向・自己資本比率を確かめた。

枠銘柄配当(前期→今期予想)配当性向
安定三井住友FG(8316)157円→180円(10/1に1:2分割)38.0%
安定全国保証(7164)120円→123円49.2%
安定東京センチュリー(8439)80円→90円35.1%
安定オリックス(8591)156.10円→187.36円39.0%
安定伊藤忠商事(8001)42円→44円32.8%
安定三菱商事(8058)110円→125円52.2%
安定日本たばこ産業(2914)234円→272円目安75%
安定関西電力(9503)75円→80円—
安定大阪ガス(9532)120円→130円30.7%
安定山九(9065)49.20円→52.80円40.1%
安定リンナイ(5947)100円→106円38.5%
安定サンドラッグ(9989)131円→132円48.8%
成長塩野義製薬(4507)71円→76円29.4%
成長ハマキョウレックス(9037)41.75円→46円28.8%
成長三浦工業(6005)72円→74円30.2%
成長大林組(1802)88円→94円35.3%
成長エクシオグループ(1951)68円→80円45.0%
成長双日(2768)165円→180円33.3%
成長日本特殊陶業(5334)102.5円→105円(分割調整後)35.9%
成長加賀電子(8154)140円→160円(うち特別配当20円)22.3%
ベアベア
金融が8銘柄って、ちょっと多くないかな……?
株人株人
意識して厚くした。日本はこれから金利が上がっていく局面で、銀行や保険の配当は増えやすい側にいると見ている。ただ、8銘柄が「金利上昇」という同じ見立てに乗っているのも事実だ。だから金融は合計20%を上限にして、銀行は3メガのうち2行にとどめた。
ブルブル
電力とたばこも入ってるな!
株人株人
景気に左右されにくい配当の柱がほしかった。関西電力は原発の再稼働で収益が戻り、配当を50円→60円→75円→80円(予想)と増やしている。ガス2社と合わせて、公益を3銘柄にした。JTは配当性向75%を目安にする、配当を最優先する会社だ。

最後まで候補に残っていた会社を一つ、自己資本比率が私の基準(40%)に届かず、今期の大幅な減益予想も出ていたので外した。名前が知られていても、基準に合わなければ入れない。三浦工業はコロナ期に一度だけ減配しているが、その後は5期連続で増配しているので成長枠に入れ、毎月の点検で見ていく。加賀電子の今期160円には特別配当20円が含まれるので、普通配当の140円を基準に見ていく。

8. 追記(2026年10月12日):テルモをシチズン時計に入れ替える

50銘柄のうち、精密機器のテルモ(4543)を、同じ精密機器のシチズン時計(7762)に入れ替えることにした。理由は3つだ。

  1. 配当利回りが約1.58%と低い。日本酸素HD・味の素を外したのと同じ考え方で、配当を受け取るためのつみたてでは柱になりにくい
  2. 10月8日に大きな損失を発表した。主要取引先との供給契約の解除で約975億円の損失を出し、今期の純利益予想は1,931億円→1,200億円に下がった(配当予想36円は据え置き)。詳しくはテルモの10月の点検に書いた
  3. 買収で積み上がった資産が大きい。のれんなどが大きく、同じような損失がまた出る余地がある

代わりの1社は、同じ精密機器の中から、この記事の基準(配当を大事にする方針・配当を払い続ける体力・自己資本比率40%以上・利回り2%以上・流動性)で探した。3つのAIに別々に調べさせ、数字は会社の開示とIRBANKで照合した。

候補見送った・選んだ理由
シチズン時計(7762)採用。2025年度から「DOE(純資産に対する配当の割合)5%以上」を目安にし、今期は53円(8月に50円から増額)で5期連続の増配の予想。フリーキャッシュフローは毎年220〜260億円と配当の約2倍、自己資本比率は62.6%、売買も多い
タムロン(7740)利回り約3.3%で配当の方針も強いが、7月30日にソニーから完全子会社化の提案を受けたと公表している。買収が成立すれば上場廃止になり、つみたてを続けられないため、提案の結論が出るまで見送った
マニー(7730)事業はテルモに最も近い医療機器だが、直近2期はフリーキャッシュフローが配当の支払いを下回った
ナカニシ(7716)累進配当だが、買収した会社の減損で2025年に最終赤字。テルモを外す理由と同じ種類のリスクがある
ベアベア
でもシチズンって、昔は減配してたよね……?
株人株人
そこは正直に書いておく。2019年3月期から3期続けて減らし(22円→20円→12円→5円)、コロナ期には5円まで下げた。今はDOE 5%以上という、利益が落ちても配当がぶれにくい物差しに変えている。利回りも約2.2%と基準ぎりぎりだ。だから成長枠に入れて、毎月の点検で見ていく。

精密機器は1銘柄のままなので、1業種15%・景気に左右されやすい業種20%・金融20%のルールはどれも変わらない。テルモは売却が済むまで保有の一覧に残り、「入れ替え予定」と表示する。

9. 追記(2026年10月18日):関西電力を妻(配子)と交換し、アステラス製薬を加える

妻(配子)の高配当50銘柄と見比べて、夫婦で1銘柄ずつ交換した。私の関西電力(9503)を外して売り、代わりに妻の追加候補だったアステラス製薬(4503)を私の50銘柄に入れる。関西電力は妻の「買い時待ち」に移る。

  1. 買い方に合う方へ:関西電力は利回りが3%前後で、株価の振れも公益3社の中で大きい。「下がって利回りが上がったら買う」妻のやり方に向いている。ガス2社は値動きが小さく配当も安定しているので、毎月決まった額を積み立てる私に残した。
  2. 医薬品のかたよりをならす:妻の追加分は医薬品が4銘柄(武田・アステラス・小野・ツムラ)に集まっていた。私の医薬品は塩野義・ロートの2銘柄。1つ移すと、夫婦とも3銘柄になる。
  3. アステラスは積み立て向き:配当は10年以上毎年増やしていて、会社の計画で「毎年2円以上の増配」をはっきり約束している。今期は80円の予想。

関西電力の配当は、原発の停止で2013年3月期から2016年3月期まで無配だった。2017年3月期の25円から一度も減らさず、今期は80円の予想だ。妻の基準(一時的でない減配がないこと)には入る。夫婦で同じ銘柄が増えることはなく、私の金融・景気敏感の割合も変わらない。電気・ガスは私が2銘柄(東京ガス・大阪ガス)、妻が1銘柄(関西電力)になる。

配子配子
関西電力さん、お預かりしますね。利回りが上がってお安くなったら、わたしが買います♪

この結論を見直すとき

  • 楽天証券のコストが、銘柄ごとの決まった手数料に変わったとき(銘柄が多いほど不利になる)
  • 基準を満たす質の高い候補が、50社に届かなくなったとき
  • 成長枠の会社が、何年たっても利益と配当を伸ばせなかったとき

よくある質問

高配当株は何銘柄に分散すればいいですか?
私は50銘柄に決めました。日本株を含む研究では、まれに起きる大きな下落の基準で約50銘柄、値動きのブレの基準で約39銘柄が目安とされています。1社が無配になったときの配当全体への打撃は、50銘柄なら2%です。人によって条件は違うので、これは私の判断です。
銘柄を増やすと手数料は高くなりませんか?
楽天証券のかぶピタッは買付金額の0.22%なので、投資額が同じなら何銘柄に分けてもコストは同じです。銘柄ごとの固定手数料がかかる買い方では、銘柄が多いほど不利になります。
100銘柄のほうが安全ではないですか?
1社の減配の打撃はさらに小さくなりますが、50から100で下がるのは1ポイントだけです。質の高い候補には限りがあり、危機のときの同時減配は銘柄数では防げないため、私は50から先は質と業種の分け方で守ることにしました。
ブルブル
50銘柄の信号が全部「安心」で並んだら、壮観だぜ!
株人株人
そういうことだ。高配当株は、銘柄を当てるゲームではない。減らない配当を、数でならし、質で守り、時間で育てる。50銘柄を毎月の信号で見守りながら、黙々と積み立てていく。

出典

  • Evans, J. L. & Archer, S. H. "Diversification and the Reduction of Dispersion" Journal of Finance(1968) https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1540-6261.1968.tb00315.x
  • Statman, M. "How Many Stocks Make a Diversified Portfolio?" Journal of Financial and Quantitative Analysis(1987) https://www.cambridge.org/core/journals/journal-of-financial-and-quantitative-analysis/article/how-many-stocks-make-a-diversified-portfolio/CE5CDF2C7225FC1E0EDE3E700A3C66A7
  • Alexeev, V. & Tapon, F. "Equity Portfolio Diversification: How Many Stocks are Enough?" University of Tasmania Discussion Paper 2013-16 https://eprints.utas.edu.au/17313/1/2013-16_Alexeev_and_Tapon_-_Equity_portfolio_diversification.pdf
  • Domian, D. L., Louton, D. A. & Racine, M. D. "Diversification in Portfolios of Individual Stocks" Financial Review(2007) https://ideas.repec.org/a/bla/finrev/v42y2007i4p557-570.html
  • 大和総研「コロナ禍の株主還元動向」(2021-03-10) https://www.dir.co.jp/report/research/capital-mkt/securities/20210310_022150.pdf
  • 楽天証券「かぶピタッ(金額指定取引)」 https://www.rakuten-sec.co.jp/web/domestic/fractional/
  • IRBANK 各社の配当金の推移(過去10年・株式分割調整後) https://irbank.net/
  • 各社の最新の決算短信(2026年5〜10月公表分)、マネックス証券 銘柄スカウター(配当性向)

この記事は2026年10月11日時点の情報です(8章は10月12日に追記)。特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。

この点検について
毎月1回、配当目的で持っている銘柄に「配当を脅かすニュース」が出ていないかを確かめています。見るのは株価ではなく、配当が続くか・増えるか・減るか。
安心 配当は守られている
注意 気になる材料あり。次の決算を見る
要再考 減配のおそれ。保有を見直す
免責:当ページは運営者「株人(かぶと)」が保有銘柄を点検した記録であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。 点検日時点の情報にもとづきます。投資判断はご自身の責任で行ってください。