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配子- 今期の配当予想は年44円(前期40円から+4円)。配当は2010年3月期以降、一度も減らしていない。会社はDOE4%を下限とし、総還元性向40〜50%を掲げる
- ただし第1四半期は純利益が36.5%の減益で、通期予想(860億円)に対する進み具合は17%。マンションの引渡しが少なかったためで、例年は30%以上進む時期
- 不動産の開発に投資を続けるため、フリーキャッシュフローは毎年のようにマイナス。自己資本比率は28.5%と低く、金利の上昇が長い目で見た課題
ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていきます。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線です。
1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 今期予想 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(営業収益) | 約0.73兆円 | 約0.76兆円 | 約0.94兆円 | 1兆800億円 |
| 営業利益 | 1,121億円 | 1,190億円 | 1,382億円 | 1,400億円 |
| 純利益 | 682億円 | 748億円 | 829億円 | 860億円 |
| ROE | 9.87% | 9.98% | 10.34% | — |
柱は3つあります。マンションや戸建てを売る住宅分譲、オフィスビルや商業施設・物流施設を貸したり、開発して売ったりする都市開発、そして資産運用や仲介です。通期で見ると、売上も利益も毎年増えていて、前期の純利益は829億円でした。
マンションは引き渡したときに売上になるので、どの四半期に引渡しが集まるかで、四半期ごとの利益が大きく動きます。そこは1年を通して見る必要があります。
ブル2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?
9月中旬から10月19日までに、業績の下方修正や減配の示唆、不祥事といった新しい悪材料は見つかりませんでした。
いちばん大きな材料は、少し前の7月30日に出た第1四半期(4〜6月)の決算です。営業収益は1,911億円(前年同期比−13.7%)、営業利益は255億円(−30.6%)、純利益は147億円(−36.5%)でした。マンションの引渡し戸数が減ったこと、都市開発の利益率が下がったこと、海外の事業が赤字になったことが理由とされています。会社は通期の予想を変えていません。
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配子3. 金利の影響 ― いちばんの課題
野村不動産は、ビルや物流施設を建てるお金の多くを借入でまかなっています。有利子負債は約1.6兆円(2026年3月末)で、自己資本の約2倍です。日銀の利上げが続けば、支払利息が少しずつ増え、利益を削ります。
金利は、マンションを買う人の住宅ローンにも効きます。金利が上がると買える人が減り、売れ行きや値段に響きます。また、ビルや物流施設を投資家に売るときも、金利が高いと売値が下がりやすくなります。この会社にとって、金利は3つの方向から効いてくる、いちばん大きな材料です。
4. 為替の影響 ― 小さい
事業のほとんどは国内です。海外の事業(アジアなど)は円高になると円に直した利益が減りますが、全体から見れば小さく、配当を左右するほどではありません。円安は建築資材の値上がりを通じて工事費を押し上げますが、これは為替よりも国内の人手不足のほうが大きな要因です。
5. 地政学の影響 ― 小さい
売っているのは日本の土地と建物なので、海外の紛争で事業が止まることはほぼありません。資材やエネルギーの値段を通じて、工事費が上がる形で間接的に効く程度です。第1四半期で赤字になった海外の事業は、規模が小さいうちは配当への影響も限られます。
ベア6. 決算見通し ― 第1四半期の進みは17%
| 項目 | 今期(2027年3月期)の会社予想 | 第1四半期の実績(4〜6月) | 進み具合(例年の第1四半期) |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 1兆800億円 | 1,911億円(−13.7%) | 17.7%(24〜30%) |
| 営業利益 | 1,400億円 | 255億円(−30.6%) | 18.2%(29〜37%) |
| 純利益 | 860億円 | 147億円(−36.5%) | 17.1%(30〜40%) |
例年の第1四半期は、純利益の予想の3〜4割まで進みます。今年は17%で、残りの9か月で約713億円を稼ぐ必要があります。次の中間決算の発表は2026年10月29日の予定です。
7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事
| 配当方針 | 2025年4月の経営計画で、総還元性向40〜50%、年間配当はDOE(株主資本配当率)4%を下限とした。財務は自己資本比率30%水準、ROE10%以上を目安にする |
|---|---|
| 配当の推移 | 分割を調整した1株あたりで、2017年3月期 13円 → 2020年3月期 16円 → 2023年3月期 24円 → 2024年3月期 28円 → 2025年3月期 34円 → 2026年3月期 40円 → 今期予想 44円(中間22円・期末22円)。IRBANK の2010年3月期以降の記録で減配なし(2025年4月1日に1株を5株に分割) |
| 配当性向 | 2026年3月期 41.4%(自社株買いを含む総還元性向 51.3%)。今期は予想の1株利益100.42円に対して約44% |
| 現金の流れ | 2026年3月期の営業キャッシュフローは約449億円で、配当の支払い(約310億円)は上回ったが、開発への投資を引くとフリーキャッシュフローは約142億円のマイナス。直近6期のうち5期がマイナスで、配当は借入や物件の売却でまかなう形 |
| 財務の余力 | 自己資本比率 28.5%・有利子負債 約1.6兆円(2026年3月末) |
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ブル配子の判断:ホールドで安心か
- 配当の下支えがある。2010年3月期以降減配なし。DOE4%を下限とする方針で、利益が一時的に減っても配当を下げにくい仕組み
- ただ、今期の出だしが弱い。第1四半期は純利益36.5%の減益で、進み具合は17%。ここが「注意」にした理由
- 借入に頼る業種で、金利が上がっていく。自己資本比率28.5%・有利子負債約1.6兆円。金利は支払利息・マンションの売れ行き・物件の売値の3方向から効く
通期で見ればこの会社の利益は伸び続けていて、配当も毎年増やしてきました。DOE4%の下限があるので、減益の年がひとつあっても、すぐに配当が減るとは考えていません。それでも、借入の大きい不動産の会社が利上げの時代にどこまで利益を伸ばせるかは、毎回の決算で見ていきます。中間決算で遅れを取り戻し、44円の予想が保たれれば「安心」に戻すつもりです。
- 2026年10月29日の中間決算:純利益の進み具合(例年は半分前後)と、中間配当22円・年44円の予想
- マンションの引渡しの予定(下期に集まっているか)と、海外の事業の赤字
- 日銀の利上げと、支払利息の増え方
よくある質問
- 野村不動産ホールディングスは減配の心配はありますか?
- 2026年10月時点で、今期の年44円(前期40円)の予想は変わっていません。IRBANK の2010年3月期以降の記録で減配はなく、会社はDOE4%を配当の下限としています。ただし第1四半期は純利益が36.5%の減益で、通期予想に対する進み具合は17%にとどまります。将来を約束するものではありません。
- 野村不動産ホールディングスの配当はいつ、いくらもらえますか?
- 2027年3月期の予想は年44円(中間22円・期末22円)です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
- DOE4%下限とは何ですか?
- DOE(株主資本配当率)は、配当の総額を株主資本で割った割合です。「4%を下限」は、その年の利益が少なくても、株主資本の4%以上は配当として払うという目安です。利益に連動する配当性向と違い、利益が一時的に減っても配当が下がりにくいのが特徴です。
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配子出典
- 野村不動産ホールディングス「2027年3月期 第1四半期決算短信」(2026-07-30)
- 野村不動産ホールディングス「経営計画策定のお知らせ」(2025-04-24)・LOGISTICS TODAY(2025-04-25)
- IRBANK「野村不動産ホールディングス(3231)の業績」 https://irbank.net/3231/results ・「四半期」 https://irbank.net/3231/quarter ・「配当」 https://irbank.net/3231/dividend
この記事は点検日(2026年10月19日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。