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配子- 今期の配当予想は年70円(中間35円・期末35円)で、前期60円から増配。会社は2024年5月から、純資産配当率(DOE)4%以上と株主還元性向40%以上を目標にしている。5月には新しい中期戦略とあわせて70円への増配を出した
- 前期の配当性向155%は、減損で純利益が102億円に落ちたため。本業の営業キャッシュフローは678億円、フリーキャッシュフローは201億円で、配当(約159億円)を現金でまかなえている
- 今期は純利益320億円の予想で、配当性向は約56%に戻る。第1四半期の営業利益は通期予想の33%まで進んだ。中東の出荷の遅れや中国の関税は、次の点検でも見る
ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていきます。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線です。
1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 今期予想 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,581億円 | 5,865億円 | 5,796億円 | 5,950億円 |
| 営業利益 | 624億円 | 610億円 | 421億円 | 425億円 |
| 純利益 | 558億円 | 495億円 | 102億円 | 320億円 |
| 営業キャッシュフロー | 767億円 | 934億円 | 678億円 | — |
| 自己資本比率 | 42.8% | 44.2% | 42.6% | — |
ダイセルの稼ぎの柱は、車や電子部品に使うエンジニアリングプラスチック(ポリアセタールや液晶ポリマーなど)と、たばこのフィルターの原料などのセルロースの事業です。ほかに、車のエアバッグを膨らませる部品(インフレータ)、半導体などの電子材料、医薬や健康食品の素材があります。
前期(2026年3月期)は、営業利益が421億円に下がり、さらに減損で純利益が102億円まで落ちました。減損は帳簿の上の損失で、現金が出ていくものではありません。今期は純利益320億円への回復を見込んでいます。
ブル2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?
9月下旬から10月20日までに、業績の下方修正、減配の示唆、不祥事、大きな訴訟といった目立った悪材料はありませんでした。10月には、エアバッグの技術を応用した針を使わない注射の研究や、健康食品の素材の臨床試験の結果など、医療・健康の分野の発表が続きました。
少し前の悪い材料として、8月21日から、中国が日本などのポリアセタールに反ダンピングの関税をかけはじめました(ダイセルの台湾の子会社は3.8%)。中国での売れ行きや利益にどれだけ響くかは、次の点検で見ます。
3. 金利の影響 ― 借入は増えている
有利子負債は2025年3月期の約2,809億円から2026年3月期は約3,043億円に増えました。大きな工場が必要な化学会社なので、日銀の利上げが進めば利息の負担は増えます。
アメリカの金利が高いままだと、車のローンが組みにくくなり、ダイセルの車向けの樹脂やエアバッグの部品の注文にも響きます。ただ、営業キャッシュフローはここ3年で年700〜900億円台あり、金利だけで配当を削るほどではないと見ています。
4. 為替の影響 ― 円安はプラス
海外の売上は6割を超えるので、円安なら利益が増え、円高なら減ります。今期は1ドル150円の前提で、第1四半期の実績は159円と円安でした。前提より大きく円高に振れると、利益の予想は下がります。
5. 地政学の影響 ― 中東と中国
第1四半期には、中東の情勢で、アセテート・トウや一部の電子材料の出荷が遅れたり、出荷を制限したりして、販売が減りました。中国では、先ほどの反ダンピングの関税に加えて、日本の車メーカーの苦戦がエアバッグの部品の売れ行きに響いています。
どれも利益を削る要因ですが、今のところ全体では増収増益で、配当の原資を大きく削るほどではありません。
ベア6. 決算見通し ― 第1四半期は例年より速い
| 項目 | 今期(2027年3月期)の会社予想 | 第1四半期の実績(4〜6月) | 進み具合(例年) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,950億円 | 1,524億円(+9.4%) | 25.6%(24%前後) |
| 営業利益 | 425億円 | 140億円(+7.7%) | 33.0%(19〜31%) |
| 純利益 | 320億円 | 94億円(−2.7%) | 29.3%(15〜73%) |
営業利益の進み具合は例年より速いペースです。次の中間決算の発表は2026年11月5日の予定です。
7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事
| 配当方針 | 2024年5月から、DOE4%以上と、配当と自社株買いを合わせた株主還元性向40%以上を目標にしている(それまでは「年32円を下限」)。2026年5月に新しい中期戦略を出し、今期の配当を70円とした |
|---|---|
| 配当の推移 | 2020年3月期 34円(創立100周年の記念2円を含む)→ 2021年3月期 32円 → 2022年3月期 34円 → 2023年3月期 38円 → 2024年3月期 50円 → 2025年3月期 60円 → 2026年3月期 60円 → 今期予想 70円(中間35円・期末35円)。2021年3月期は記念配当がなくなって2円減ったが、普通配当は32円で横ばい |
| 配当性向 | 2025年3月期 33.1% → 2026年3月期 154.8%(減損のため)。今期は予想の1株利益125.3円に対して約56% |
| 現金の流れ | 2026年3月期の営業キャッシュフローは678億円、フリーキャッシュフローは201億円のプラスで、配当の支払い(約159億円)を上回った。フリーキャッシュフローは3期続けてプラス |
| 財務の余力 | 自己資本比率 42.6%・現金 668億円・有利子負債 3,043億円(2026年3月末) |
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ブル配子の判断:ホールドで安心か
- 利益に左右されにくい配当の決め方。DOE4%以上・株主還元性向40%以上が目標。減損で利益が落ちた前期も60円を守り、今期は70円への増配予想
- 現金で配当を払えている。前期のフリーキャッシュフロー201億円は、配当の支払い(約159億円)を上回った。フリーキャッシュフローは3期続けてプラス
- 今期の利益は戻る見込み。純利益320億円の予想で、配当性向は約56%。第1四半期の営業利益は例年より速いペース。中東と中国の逆風は続けて見る
ダイセルは、前期に減損で利益が大きく落ちましたが、本業の現金を稼ぐ力は保たれ、配当も増やしています。中間決算で、利益の予想が保たれるか、中東の出荷の遅れと中国の関税の影響を見ます。新しい中期戦略の株主還元の方針も、会社の資料で確かめます。
- 2026年11月5日の中間決算:純利益320億円と、年70円の配当予想が保たれるか
- 中東の情勢による出荷の遅れが解消しているか、中国の反ダンピングの関税の影響
- 新しい中期戦略(2026年5月)の株主還元の方針の中身
よくある質問
- ダイセルは減配したことがありますか?
- 2021年3月期の年間配当は32円で、前の期の34円より2円少なくなりました。ただし前の期の34円には創立100周年の記念配当2円が入っていて、普通配当は32円のまま横ばいです。それ以外に、2015年3月期以降で前の期を下回った年はありません。将来を約束するものではありません。
- ダイセルの配当はいつ、いくらもらえますか?
- 2027年3月期の予想は年70円(中間35円・期末35円)です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
- 配当性向が150%を超えたのは大丈夫ですか?
- 2026年3月期は、減損で純利益が102億円に落ちたため、配当性向が154.8%になりました。減損は現金が出ていく損失ではなく、その年のフリーキャッシュフロー(201億円)は配当の支払いを上回っています。2027年3月期の予想では、配当性向は約56%に戻ります。
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配子出典
- ダイセル「2027年3月期 第1四半期決算短信」(2026-08)・2026年3月期 決算短信(2026-05-12)・株主還元方針の変更に関する開示(2024-05-09)
- ダイセル 中期戦略(2026-05)
- IRBANK「ダイセル(4202)の業績」 https://irbank.net/4202/results ・「四半期」 https://irbank.net/4202/quarter ・「配当」 https://irbank.net/4202/dividend
この記事は点検日(2026年10月20日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。