保有銘柄の月次点検(配当目線)

【2026年10月点検】ダイセル(4202)はホールドで大丈夫?配当目線でDOE4%・配当性向155%・70円への増配をチェック

点検日 2026/10/20(火)   化学   配子(はいこ)
配子配子
こんにちは、配子です。今日はダイセルを点検します。たばこのフィルターの原料(アセテート・トウ)や、車や電子部品に使う樹脂、車のエアバッグを膨らませる部品までつくる化学会社ですね。10月に足した20銘柄のひとつで、少しずつ買いはじめたところです。夫は持っていない、わたしだけの銘柄です。見るのは「この配当、これからも続くのかしら」だけです。
ベアベア
配子さん、前の期の純利益は102億円しかなくて、配当性向は155%だったの! 利益より多く配ってるよ…。
ブルブル
それは工場の減損のせいだぜ! 今期は純利益320億円に戻る予想で、配当も60円から70円に増やすんだ!
ベアベア
中東の情勢で出荷が遅れたり、中国で関税をかけられたりもしてるんでしょう?
配子配子
減損で落ちた利益と、本当の稼ぎを分けて見ないといけませんね。順に見ていきましょう。結論は先に書いておきます。
判定:安心してホールド 2026年10月の点検
  • 今期の配当予想は年70円(中間35円・期末35円)で、前期60円から増配。会社は2024年5月から、純資産配当率(DOE)4%以上と株主還元性向40%以上を目標にしている。5月には新しい中期戦略とあわせて70円への増配を出した
  • 前期の配当性向155%は、減損で純利益が102億円に落ちたため。本業の営業キャッシュフローは678億円、フリーキャッシュフローは201億円で、配当(約159億円)を現金でまかなえている
  • 今期は純利益320億円の予想で、配当性向は約56%に戻る。第1四半期の営業利益は通期予想の33%まで進んだ。中東の出荷の遅れや中国の関税は、次の点検でも見る
保有株数
0.0678株
取得単価
1,475円
年間配当(予想)
5円
取得単価に対する利回り
4.75%
参考:評価額 98円・含み損益 −2円(判定には使っていません)。保有データは /haiko と同じで、毎営業日自動で更新されます。

ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていきます。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線です。

1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか

項目2024年3月期2025年3月期2026年3月期今期予想
売上高5,581億円5,865億円5,796億円5,950億円
営業利益624億円610億円421億円425億円
純利益558億円495億円102億円320億円
営業キャッシュフロー767億円934億円678億円—
自己資本比率42.8%44.2%42.6%—

ダイセルの稼ぎの柱は、車や電子部品に使うエンジニアリングプラスチック(ポリアセタールや液晶ポリマーなど)と、たばこのフィルターの原料などのセルロースの事業です。ほかに、車のエアバッグを膨らませる部品(インフレータ)、半導体などの電子材料、医薬や健康食品の素材があります。

前期(2026年3月期)は、営業利益が421億円に下がり、さらに減損で純利益が102億円まで落ちました。減損は帳簿の上の損失で、現金が出ていくものではありません。今期は純利益320億円への回復を見込んでいます。

ブルブル
液晶ポリマーは、AIのサーバーの部品にも使われてるんだぜ!

2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?

9月下旬から10月20日までに、業績の下方修正、減配の示唆、不祥事、大きな訴訟といった目立った悪材料はありませんでした。10月には、エアバッグの技術を応用した針を使わない注射の研究や、健康食品の素材の臨床試験の結果など、医療・健康の分野の発表が続きました。

少し前の悪い材料として、8月21日から、中国が日本などのポリアセタールに反ダンピングの関税をかけはじめました(ダイセルの台湾の子会社は3.8%)。中国での売れ行きや利益にどれだけ響くかは、次の点検で見ます。

3. 金利の影響 ― 借入は増えている

有利子負債は2025年3月期の約2,809億円から2026年3月期は約3,043億円に増えました。大きな工場が必要な化学会社なので、日銀の利上げが進めば利息の負担は増えます。

アメリカの金利が高いままだと、車のローンが組みにくくなり、ダイセルの車向けの樹脂やエアバッグの部品の注文にも響きます。ただ、営業キャッシュフローはここ3年で年700〜900億円台あり、金利だけで配当を削るほどではないと見ています。

4. 為替の影響 ― 円安はプラス

海外の売上は6割を超えるので、円安なら利益が増え、円高なら減ります。今期は1ドル150円の前提で、第1四半期の実績は159円と円安でした。前提より大きく円高に振れると、利益の予想は下がります。

5. 地政学の影響 ― 中東と中国

第1四半期には、中東の情勢で、アセテート・トウや一部の電子材料の出荷が遅れたり、出荷を制限したりして、販売が減りました。中国では、先ほどの反ダンピングの関税に加えて、日本の車メーカーの苦戦がエアバッグの部品の売れ行きに響いています。

どれも利益を削る要因ですが、今のところ全体では増収増益で、配当の原資を大きく削るほどではありません。

ベアベア
中東と中国、どちらも長引くかどうかがポイントなんだね。

6. 決算見通し ― 第1四半期は例年より速い

項目今期(2027年3月期)の会社予想第1四半期の実績(4〜6月)進み具合(例年)
売上高5,950億円1,524億円(+9.4%)25.6%(24%前後)
営業利益425億円140億円(+7.7%)33.0%(19〜31%)
純利益320億円94億円(−2.7%)29.3%(15〜73%)

営業利益の進み具合は例年より速いペースです。次の中間決算の発表は2026年11月5日の予定です。

7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事

配当方針2024年5月から、DOE4%以上と、配当と自社株買いを合わせた株主還元性向40%以上を目標にしている(それまでは「年32円を下限」)。2026年5月に新しい中期戦略を出し、今期の配当を70円とした
配当の推移2020年3月期 34円(創立100周年の記念2円を含む)→ 2021年3月期 32円 → 2022年3月期 34円 → 2023年3月期 38円 → 2024年3月期 50円 → 2025年3月期 60円 → 2026年3月期 60円 → 今期予想 70円(中間35円・期末35円)。2021年3月期は記念配当がなくなって2円減ったが、普通配当は32円で横ばい
配当性向2025年3月期 33.1% → 2026年3月期 154.8%(減損のため)。今期は予想の1株利益125.3円に対して約56%
現金の流れ2026年3月期の営業キャッシュフローは678億円、フリーキャッシュフローは201億円のプラスで、配当の支払い(約159億円)を上回った。フリーキャッシュフローは3期続けてプラス
財務の余力自己資本比率 42.6%・現金 668億円・有利子負債 3,043億円(2026年3月末)
ベアベア
利益がこんなに落ちた年でも配当を減らさず、次の年に増配。本当に大丈夫なのかな…。
配子配子
ダイセルは、利益ではなく純資産を基準に配当を決める方針(DOE4%以上)に変えています。だから減損で利益が落ちても、配当は守られたんですね。現金の流れで見ても、前の期は配当を払えています。わたしは「減配したら売る」と決めていますが、今のところその心配は小さいと見ています。
ブルブル
利益が戻る今期は、配当性向も56%まで下がる。数字の見た目ほど危なくないってことだな!

配子の判断:ホールドで安心か

安心してホールド(継続)
  1. 利益に左右されにくい配当の決め方。DOE4%以上・株主還元性向40%以上が目標。減損で利益が落ちた前期も60円を守り、今期は70円への増配予想
  2. 現金で配当を払えている。前期のフリーキャッシュフロー201億円は、配当の支払い(約159億円)を上回った。フリーキャッシュフローは3期続けてプラス
  3. 今期の利益は戻る見込み。純利益320億円の予想で、配当性向は約56%。第1四半期の営業利益は例年より速いペース。中東と中国の逆風は続けて見る

ダイセルは、前期に減損で利益が大きく落ちましたが、本業の現金を稼ぐ力は保たれ、配当も増やしています。中間決算で、利益の予想が保たれるか、中東の出荷の遅れと中国の関税の影響を見ます。新しい中期戦略の株主還元の方針も、会社の資料で確かめます。

次の点検で見ること
  • 2026年11月5日の中間決算:純利益320億円と、年70円の配当予想が保たれるか
  • 中東の情勢による出荷の遅れが解消しているか、中国の反ダンピングの関税の影響
  • 新しい中期戦略(2026年5月)の株主還元の方針の中身

よくある質問

ダイセルは減配したことがありますか?
2021年3月期の年間配当は32円で、前の期の34円より2円少なくなりました。ただし前の期の34円には創立100周年の記念配当2円が入っていて、普通配当は32円のまま横ばいです。それ以外に、2015年3月期以降で前の期を下回った年はありません。将来を約束するものではありません。
ダイセルの配当はいつ、いくらもらえますか?
2027年3月期の予想は年70円(中間35円・期末35円)です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
配当性向が150%を超えたのは大丈夫ですか?
2026年3月期は、減損で純利益が102億円に落ちたため、配当性向が154.8%になりました。減損は現金が出ていく損失ではなく、その年のフリーキャッシュフロー(201億円)は配当の支払いを上回っています。2027年3月期の予想では、配当性向は約56%に戻ります。
ベアベア
155%は減損のせいだった。現金で見ると落ち着いて見られるね。
配子配子
そうですね。今月のダイセルは安心してホールド。11月5日の中間決算で、もう一度見ますね。

出典

  • ダイセル「2027年3月期 第1四半期決算短信」(2026-08)・2026年3月期 決算短信(2026-05-12)・株主還元方針の変更に関する開示(2024-05-09)
  • ダイセル 中期戦略(2026-05)
  • IRBANK「ダイセル(4202)の業績」 https://irbank.net/4202/results ・「四半期」 https://irbank.net/4202/quarter ・「配当」 https://irbank.net/4202/dividend

この記事は点検日(2026年10月20日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。

この点検について
毎月1回、配当目的で持っている銘柄に「配当を脅かすニュース」が出ていないかを確かめています。見るのは株価ではなく、配当が続くか・増えるか・減るか。
安心 配当は守られている
注意 気になる材料あり。次の決算を見る
要再考 減配のおそれ。保有を見直す
免責:当ページは運営者「株人(かぶと)」が保有銘柄を点検した記録であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。 点検日時点の情報にもとづきます。投資判断はご自身の責任で行ってください。