保有銘柄の月次点検(配当目線)

【2026年10月点検】野村総合研究所(4307)はホールドで大丈夫?配当目線で減損・配当性向・決算をチェック

点検日 2026/10/11(日)   情報・通信業   株人(かぶと)
株人株人
今月の点検、今日は野村総合研究所(NRI)だ。銀行・証券・保険向けのシステムづくりと運用、企業や官公庁へのコンサルティングを手がける大手IT企業だ。私の高配当つみたて50銘柄のひとつだ。見るのはいつもどおり「この配当、これからも続くのか」だけだ。
ベアベア
株人さん、前の期は純利益が84%も減って、配当性向が290%になってたの! 利益の3倍も配当を払ってるなんて、危なくないの……?
ブルブル
でも配当は63円→77円に増えて、今期も84円に増配予定だぜ! 700億円の自社株買いまでやってる。いけるって!
ベアベア
でも、海外で買った会社がうまくいかなかったから、利益が減ったんでしょう?
株人株人
2人とも大事なところを突いている。大きな減損、配当性向290%、海外の失敗。どれも「配当に響くかどうか」に引き直して順番に見ていこう。結論は先に書いておく。
判定:安心してホールド 2026年10月の点検
  • 今期の配当予想は年84円(前期77円から+7円)。方針は連結配当性向40%以上
  • 前期の純利益の急減は、海外子会社の約969億円の減損(現金が出ていかない会計上の損失)のため。本業の現金(営業キャッシュフロー)は1,476億円と前の期より増えた
  • 今期は1株利益が212.61円に戻る予想で、配当性向は約40%に戻る。次の決算で、利益が予想どおり戻っているかを見る
保有株数
1株
取得単価
5,095円
年間配当(予想)
84円
取得単価に対する利回り
1.65%
参考:評価額 5,991円・含み損益 +896円(判定には使っていません)。保有データは /dividend と同じで、毎営業日自動で更新されます。

ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていく。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線だ。

1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか

NRIの売上の約半分は、銀行・証券・保険などの金融機関向けのシステムだ。システムは作って終わりではなく、そのあとの運用と保守で毎年お金が入る。景気が悪くても、金融機関はシステムを止められない。この「続く収入」が、配当の土台になっている。

項目2025年3月期2026年3月期
売上収益7,648億円8,147億円(+6.5%)
営業利益1,349億円583億円
純利益(親会社帰属)938億円153億円
営業キャッシュフロー1,302億円1,476億円

前期の利益が大きく減ったのは、豪州と北米で買った会社について約969億円の「のれん」などの減損を出したからだ。これは、昔の買収で払った上乗せ分の価値を帳簿の上で下げる処理で、その年に現金が出ていくわけではない。実際、本業で入る現金は1,302億円から1,476億円に増えている。減損を除いた本業の利益(事業利益)は1,566億円(+16.1%)で過去最高だった。

ブルブル
帳簿の上の損で、財布のお金は増えてたってことだな!
株人株人
そうだ。とはいえ、海外の買収で失敗したことは事実だ。会社は新しい中期経営計画で海外は「規模を追わない」と方針を変え、海外の売上目標も大きく下げた。利益の約9割は国内で稼いでいる。

2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?

9月中旬から10月11日までの開示と報道を確かめた。業績の下方修正・減配の示唆・情報漏えいなどの不祥事・訴訟・行政処分・格下げは見当たらなかった。格付投資情報センター(R&I)の格付けは「A+(安定的)」(2026年5月時点)だ。

9月29日には中間配当42円の権利落ち日を予定どおり通過した。サイバー攻撃の増加で、企業や金融機関の守りのIT投資が増えていることは、NRIにとって追い風だ。

3. 金利の影響 ― むしろ追い風

NRIの借入は小さく、正味の借入は自己資本の約0.1倍だ。日銀の利上げで利息の支払いが増えても、配当の原資が削られることはない。

むしろ金利の上昇は、お客さんである銀行や保険会社の利益を増やす。お客さんの稼ぎが増えれば、システムへの投資の予算も増えやすい。売上の約半分が金融機関向けなので、間接的には追い風だ。

ベアベア
金利が上がると、お客さんが元気になるんだね。

4. 為替の影響 ― ほぼ国内の会社

海外の売上は全体の約13%で、利益の約9割は国内で稼ぐ。円高なら海外の売上は円に直すと目減りするが、海外事業はまだ利益が小さいので影響は限られる。円安なら海外製のサーバーやクラウドの費用が上がるが、NRIの付加価値の中心は人の頭脳なので、こちらも大きくない。為替で配当が揺らぐことは考えにくい。

5. 地政学の影響 ― 小さく、守りの需要はむしろ増える

海外の拠点は豪州と北米で、政治的に安定した地域だ。中国・ロシア・中東に大きな拠点はない。米中対立などでサーバーなどの機器の調達が遅れれば、一部の案件の売上が後ろにずれることはありうる。

一方で、国をまたいだサイバー攻撃の脅威が高まるほど、守りのIT投資は増える。会社も直近の決算で、セキュリティの需要が大きく増えていると報告している。

ブルブル
世の中が物騒になるほど、守りの仕事が増えるってわけか!

6. 決算見通し ― 第1四半期は増収増益

今期(2027年3月期)の会社予想金額前期比第1四半期の実績
売上収益8,500億円+4.3%2,104億円(+7.5%)
営業利益1,750億円約3倍(減損の反動)417億円(+12.0%)
純利益(親会社帰属)1,190億円約7.8倍(同)292億円(+12.4%)

第1四半期の営業利益は通期予想の約24%。金融機関向けが売上+9%・営業利益+19%と好調で、AIを使った開発で効率も上がっている。ITの仕事は年度末に納品が集まりやすいので、この進み方は順調だ。次の第2四半期(中間期)の決算発表は2026年10月29日の予定だ。

7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事

配当方針連結配当性向40%以上(2024年3月期に30%以上から引き上げ)。中期経営計画2028でも同じ。累進配当の約束はない
配当の推移2024年3月期 58円 → 2025年3月期 63円 → 2026年3月期 77円 → 今期予想 84円(中間42円・期末42円)。株式分割を調整すると、2012年以降減配なし
配当性向2026年3月期 289.9%(減損で1株利益が26.62円に落ちたため)。今期予想は1株利益212.61円に対して約40%
現金で払えているか前期の営業キャッシュフロー1,476億円、投資キャッシュフロー−970億円。配当の支払い(1株77円で年約440億円の概算)は、本業の現金で十分にまかなえる
財務の余力自己資本比率 45.2%(2026年3月期末)。R&I A+
株主還元中期経営計画でROE 25%を目指し、計画の期間中に約1,000億円の自社株買いを行う方針。まず700億円の取得を発表
ベアベア
配当性向290%って、やっぱり見た目はすごく怖いよ……。
株人株人
数字だけ見ればそうだ。だが中身は、現金の出ない減損で利益が一時的に小さく見えただけだ。会社は減配どころか、期末配当を予想より上げて77円にした。私が気にするのは今期のほうで、利益が本当に1,190億円まで戻るかだ。
ブルブル
自社株買いで株の数が減れば、1株あたりの利益も配当も増えやすくなるんだよな!
株人株人
そういうことだ。配当性向を40%で決める会社なので、1株利益が増えれば配当も増える。自社株買いはその後押しになる。

株人の判断:ホールドで安心か

安心してホールド(継続)
  1. 本業の現金は増えている。前期の利益の急減は現金の出ない減損のためで、営業キャッシュフローは1,476億円に増えた
  2. 大きな減損の年にも増配した。配当は63円→77円、今期も84円の予定。配当性向40%以上の方針
  3. 国内の続く収入が強い。売上の約半分が金融機関向けで、利益の約9割を国内で稼ぐ。第1四半期も増収増益

ただし正直に書いておくと、海外の買収では大きく失敗した。会社は海外の拡大を止めたが、今期の利益が予想どおり戻るかは、まだ確かめていない。配当利回りは約1.5%と低く、この銘柄は「今の配当」より「配当の伸び」で持つ成長枠の銘柄だ。それでも、配当が「減る」方向の材料は今のところ見当たらない。

次の点検で見ること(2026年10月29日の第2四半期決算)
  • 中間配当42円・年84円の予想が変わらないか
  • 営業利益が通期予想1,750億円に向けて進んでいるか
  • 海外事業で新しい減損などの特別損失が出ていないか

よくある質問

野村総合研究所は減配の心配はありますか?
2026年10月時点では小さいと見ています。前期に約969億円の減損で純利益が大きく減りましたが、配当は63円から77円に増やし、今期も84円の予定です。方針は連結配当性向40%以上で、累進配当の約束はありません。将来を約束するものではありません。
野村総合研究所の配当はいつ、いくらもらえますか?
今期(2027年3月期)の予想は年84円で、中間42円・期末42円です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
配当性向が290%なのは危なくないですか?
2026年3月期の配当性向289.9%は、海外子会社の減損(現金が出ていかない会計上の損失)で1株利益が26.62円に落ちたためです。本業の現金(営業キャッシュフロー1,476億円)で配当は十分にまかなえています。今期は1株利益212.61円の予想で、配当性向は約40%に戻る見込みです。
ベアベア
290%の正体が分かって安心したよ。でも、利益がちゃんと戻るかは次の決算で見てね。
株人株人
そういうことだ。今月のNRIは安心してホールド。株価がどう動いても、配当が続く限り私は持ち続ける。中間決算を見て、また点検しよう。

出典

  • 野村総合研究所「2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」・「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026-07-30)
  • 野村総合研究所「中期経営計画2028」・株主還元方針 https://ir.nri.com/
  • IRBANK「野村総合研究所(4307)の業績」 https://irbank.net/4307/results

この記事は点検日(2026年10月11日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。

この点検について
毎月1回、配当目的で持っている銘柄に「配当を脅かすニュース」が出ていないかを確かめています。見るのは株価ではなく、配当が続くか・増えるか・減るか。
安心 配当は守られている
注意 気になる材料あり。次の決算を見る
要再考 減配のおそれ。保有を見直す
免責:当ページは運営者「株人(かぶと)」が保有銘柄を点検した記録であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。 点検日時点の情報にもとづきます。投資判断はご自身の責任で行ってください。