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株人- 今期の配当予想は年84円(前期77円から+7円)。方針は連結配当性向40%以上
- 前期の純利益の急減は、海外子会社の約969億円の減損(現金が出ていかない会計上の損失)のため。本業の現金(営業キャッシュフロー)は1,476億円と前の期より増えた
- 今期は1株利益が212.61円に戻る予想で、配当性向は約40%に戻る。次の決算で、利益が予想どおり戻っているかを見る
ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていく。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線だ。
1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか
NRIの売上の約半分は、銀行・証券・保険などの金融機関向けのシステムだ。システムは作って終わりではなく、そのあとの運用と保守で毎年お金が入る。景気が悪くても、金融機関はシステムを止められない。この「続く収入」が、配当の土台になっている。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 7,648億円 | 8,147億円(+6.5%) |
| 営業利益 | 1,349億円 | 583億円 |
| 純利益(親会社帰属) | 938億円 | 153億円 |
| 営業キャッシュフロー | 1,302億円 | 1,476億円 |
前期の利益が大きく減ったのは、豪州と北米で買った会社について約969億円の「のれん」などの減損を出したからだ。これは、昔の買収で払った上乗せ分の価値を帳簿の上で下げる処理で、その年に現金が出ていくわけではない。実際、本業で入る現金は1,302億円から1,476億円に増えている。減損を除いた本業の利益(事業利益)は1,566億円(+16.1%)で過去最高だった。
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株人2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?
9月中旬から10月11日までの開示と報道を確かめた。業績の下方修正・減配の示唆・情報漏えいなどの不祥事・訴訟・行政処分・格下げは見当たらなかった。格付投資情報センター(R&I)の格付けは「A+(安定的)」(2026年5月時点)だ。
9月29日には中間配当42円の権利落ち日を予定どおり通過した。サイバー攻撃の増加で、企業や金融機関の守りのIT投資が増えていることは、NRIにとって追い風だ。
3. 金利の影響 ― むしろ追い風
NRIの借入は小さく、正味の借入は自己資本の約0.1倍だ。日銀の利上げで利息の支払いが増えても、配当の原資が削られることはない。
むしろ金利の上昇は、お客さんである銀行や保険会社の利益を増やす。お客さんの稼ぎが増えれば、システムへの投資の予算も増えやすい。売上の約半分が金融機関向けなので、間接的には追い風だ。
ベア4. 為替の影響 ― ほぼ国内の会社
海外の売上は全体の約13%で、利益の約9割は国内で稼ぐ。円高なら海外の売上は円に直すと目減りするが、海外事業はまだ利益が小さいので影響は限られる。円安なら海外製のサーバーやクラウドの費用が上がるが、NRIの付加価値の中心は人の頭脳なので、こちらも大きくない。為替で配当が揺らぐことは考えにくい。
5. 地政学の影響 ― 小さく、守りの需要はむしろ増える
海外の拠点は豪州と北米で、政治的に安定した地域だ。中国・ロシア・中東に大きな拠点はない。米中対立などでサーバーなどの機器の調達が遅れれば、一部の案件の売上が後ろにずれることはありうる。
一方で、国をまたいだサイバー攻撃の脅威が高まるほど、守りのIT投資は増える。会社も直近の決算で、セキュリティの需要が大きく増えていると報告している。
ブル6. 決算見通し ― 第1四半期は増収増益
| 今期(2027年3月期)の会社予想 | 金額 | 前期比 | 第1四半期の実績 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 8,500億円 | +4.3% | 2,104億円(+7.5%) |
| 営業利益 | 1,750億円 | 約3倍(減損の反動) | 417億円(+12.0%) |
| 純利益(親会社帰属) | 1,190億円 | 約7.8倍(同) | 292億円(+12.4%) |
第1四半期の営業利益は通期予想の約24%。金融機関向けが売上+9%・営業利益+19%と好調で、AIを使った開発で効率も上がっている。ITの仕事は年度末に納品が集まりやすいので、この進み方は順調だ。次の第2四半期(中間期)の決算発表は2026年10月29日の予定だ。
7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事
| 配当方針 | 連結配当性向40%以上(2024年3月期に30%以上から引き上げ)。中期経営計画2028でも同じ。累進配当の約束はない |
|---|---|
| 配当の推移 | 2024年3月期 58円 → 2025年3月期 63円 → 2026年3月期 77円 → 今期予想 84円(中間42円・期末42円)。株式分割を調整すると、2012年以降減配なし |
| 配当性向 | 2026年3月期 289.9%(減損で1株利益が26.62円に落ちたため)。今期予想は1株利益212.61円に対して約40% |
| 現金で払えているか | 前期の営業キャッシュフロー1,476億円、投資キャッシュフロー−970億円。配当の支払い(1株77円で年約440億円の概算)は、本業の現金で十分にまかなえる |
| 財務の余力 | 自己資本比率 45.2%(2026年3月期末)。R&I A+ |
| 株主還元 | 中期経営計画でROE 25%を目指し、計画の期間中に約1,000億円の自社株買いを行う方針。まず700億円の取得を発表 |
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株人株人の判断:ホールドで安心か
- 本業の現金は増えている。前期の利益の急減は現金の出ない減損のためで、営業キャッシュフローは1,476億円に増えた
- 大きな減損の年にも増配した。配当は63円→77円、今期も84円の予定。配当性向40%以上の方針
- 国内の続く収入が強い。売上の約半分が金融機関向けで、利益の約9割を国内で稼ぐ。第1四半期も増収増益
ただし正直に書いておくと、海外の買収では大きく失敗した。会社は海外の拡大を止めたが、今期の利益が予想どおり戻るかは、まだ確かめていない。配当利回りは約1.5%と低く、この銘柄は「今の配当」より「配当の伸び」で持つ成長枠の銘柄だ。それでも、配当が「減る」方向の材料は今のところ見当たらない。
- 中間配当42円・年84円の予想が変わらないか
- 営業利益が通期予想1,750億円に向けて進んでいるか
- 海外事業で新しい減損などの特別損失が出ていないか
よくある質問
- 野村総合研究所は減配の心配はありますか?
- 2026年10月時点では小さいと見ています。前期に約969億円の減損で純利益が大きく減りましたが、配当は63円から77円に増やし、今期も84円の予定です。方針は連結配当性向40%以上で、累進配当の約束はありません。将来を約束するものではありません。
- 野村総合研究所の配当はいつ、いくらもらえますか?
- 今期(2027年3月期)の予想は年84円で、中間42円・期末42円です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
- 配当性向が290%なのは危なくないですか?
- 2026年3月期の配当性向289.9%は、海外子会社の減損(現金が出ていかない会計上の損失)で1株利益が26.62円に落ちたためです。本業の現金(営業キャッシュフロー1,476億円)で配当は十分にまかなえています。今期は1株利益212.61円の予想で、配当性向は約40%に戻る見込みです。
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株人出典
- 野村総合研究所「2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」・「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026-07-30)
- 野村総合研究所「中期経営計画2028」・株主還元方針 https://ir.nri.com/
- IRBANK「野村総合研究所(4307)の業績」 https://irbank.net/4307/results
この記事は点検日(2026年10月11日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。