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配子- 今期の配当予想は年204円(中間102円・期末102円)で、前期200円から増配。会社は累進配当(毎年維持か増配)を掲げ、2015年3月期から減配はない
- 帳簿の上の利益では配当をまかなえていない。配当性向は3年続けて100%を大きく超え、今期の予想でも約194%。ただ、前期のフリーキャッシュフローは約6,723億円で、配当(年3,200億円ほど)の約2倍あり、現金では払えている
- 心配は、アメリカのアミティーザの訴訟(訴訟引当金4,025億円・控訴へ)と、約4.9兆円の借入。訴訟で実際にお金を払うことになれば、配当に回せる現金が減る
ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていきます。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線です。
1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 今期予想 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 4兆2,637億円 | 4兆5,815億円 | 4兆5,057億円 | 4兆6,400億円 |
| 営業利益 | 2,141億円 | 3,426億円 | 62億円 | 4,200億円 |
| 純利益 | 1,441億円 | 1,079億円 | −1,524億円 | 1,660億円 |
| 営業キャッシュフロー | 7,163億円 | 1兆571億円 | 1兆414億円 | — |
| フリーキャッシュフロー | 2,525億円 | 6,901億円 | 6,723億円 | — |
武田は、消化器、希少疾患、血液からつくる薬、がん、神経の病気、ワクチンを柱とする世界的な製薬会社です。2019年にアイルランドのシャイアーを買収したため、その無形資産の償却という「現金の出ていかない費用」が毎年大きく、帳簿の上の利益は小さく見えます。
前期(2026年3月期)の赤字は、アメリカの便秘薬「アミティーザ」の後発薬をめぐる反トラスト法(独占禁止法)の訴訟で、陪審が武田に不利な評決を出し、訴訟引当金4,025億円を積んだためです。一方、本業で稼いだ現金を示す営業キャッシュフローは1兆円を超えています。
ブル2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?
9月下旬から10月20日までに、業績の下方修正や減配の示唆といった大きな悪材料はありませんでした。
10月1日には、細胞療法の研究をやめると発表し、約580億円の減損を出す見込みです。減損は帳簿の上の損失で、現金が出ていくものではありません。好材料としては、10月中旬に、次の成長を担うナルコレプシー(眠り病)の新しい飲み薬についての発表がありました。
そして、いちばん大きいアミティーザの訴訟は、まだ判決が出ておらず、会社は控訴などで争う方針です。最終的にいくら、いつ払うのかは決まっていません。
3. 金利の影響 ― 借入は多いが、すべて固定金利
有利子負債は約4.88兆円(2026年3月末)と、とても大きな額です。ただ、会社によると借入はすべて固定金利で、加重平均の金利は約2.4%、返す時期も先まで分かれています。日銀の利上げで、すぐに利息が増えることはありません。
会社は、借入を稼ぎの2倍(純有利子負債/EBITDA)まで減らす目標を掲げていますが、前期末は2.6倍でした。借入を減らすことと配当を増やすことを、同時に進めている状態です。
4. 為替の影響 ― 円安はプラス
売上の大半が海外なので、円安なら利益と現金が増え、円高なら減ります。会社は今期を1ドル156円の前提にしています。大きな円高になっても、フリーキャッシュフローは配当の総額を上回る計算ですが、余裕は小さくなります。
5. 地政学の影響 ― アメリカの薬価と裁判
武田にとっていちばんのリスクは、最大の市場であるアメリカの制度です。アメリカでは、政府が一部の薬の値段を交渉で下げる仕組みが始まっています。また、今回のアミティーザのように、アメリカの裁判は賠償の額が大きくなりやすく、突然大きな現金が出ていくおそれがあります。
ベア6. 決算見通し ― 第1四半期は順調
| 項目 | 今期(2027年3月期)の会社予想 | 第1四半期の実績(4〜6月) | 進み具合 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 4兆6,400億円 | 1兆2,199億円(+10.2%) | 26.3% |
| 営業利益 | 4,200億円 | 2,014億円(+9.1%) | 48.0% |
| 純利益 | 1,660億円 | 1,132億円(−8.9%) | 68.2% |
会社は、今期の調整後フリー・キャッシュ・フローを6,500〜7,500億円と見込んでいます。第1四半期は686億円と少なめでしたが、季節の偏りもあります。次の中間決算の発表は2026年10月29日の予定で、次の点検の前に結果が出ます。
7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事
| 配当方針 | 毎年の年間配当を増額または維持する(累進配当) |
|---|---|
| 配当の推移 | 2015年3月期〜2023年3月期 180円(9年続けて同じ)→ 2024年3月期 188円 → 2025年3月期 196円 → 2026年3月期 200円 → 今期予想 204円(中間102円・期末102円)。2015年3月期から減配はない |
| 配当性向 | 2024年3月期 204.2% → 2025年3月期 286.7% → 2026年3月期 164.3%(IRBANK の表示)。今期は予想の1株利益105.04円に対して約194% |
| 現金の流れ | 2026年3月期の営業キャッシュフローは1兆414億円、フリーキャッシュフローは6,723億円。配当の総額は年3,200億円ほど(204円×約15.8億株の概算) |
| 財務の余力 | 自己資本比率 47.9%・現金 5,951億円・有利子負債 約4.88兆円(2026年3月末) |
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ブル配子の判断:ホールドで安心か
- 累進配当と現金の力はある。2015年3月期から減配なし、今期は204円への増配予想。フリーキャッシュフローは配当の約2倍
- でも、帳簿の利益では払えていない。配当性向は3年続けて100%を大きく超え、今期の予想も約194%
- 訴訟と借入が重い。アミティーザの訴訟(引当金4,025億円)の支払いが決まれば、配当に回せる現金が減る。借入は約4.9兆円で、減らす目標にもまだ届いていない。ここが「注意」にした理由
武田は、配当を減らさないことを大事にしてきた会社で、現金を稼ぐ力も大きい一方、訴訟と借入という重い荷物を抱えています。10月29日の中間決算で、現金の稼ぎの進み具合と、訴訟の動きを見ます。
- 2026年10月29日の中間決算:年204円の配当予想と、調整後フリー・キャッシュ・フロー(通期6,500〜7,500億円)の進み具合
- アミティーザの訴訟:判決や控訴、和解、実際の支払いの時期と額
- 借入(純有利子負債/EBITDA 2.6倍)が減っているか
よくある質問
- 武田薬品は減配したことがありますか?
- 2015年3月期以降、年間配当が前の期を下回ったことはありません。2023年3月期までは180円で据え置き、その後は188円、196円、200円と増やし、2027年3月期は204円の予想です。会社は累進配当(毎年維持か増配)を掲げています。将来を約束するものではありません。
- 武田薬品の配当はいつ、いくらもらえますか?
- 2027年3月期の予想は年204円(中間102円・期末102円)です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
- 赤字なのに配当を払えるのはなぜですか?
- 2026年3月期の赤字は、訴訟引当金4,025億円や、買収した会社の無形資産の償却など、その年に現金が出ていかない費用が大きかったためです。本業で稼いだ現金(営業キャッシュフロー)は1兆円を超え、フリーキャッシュフローは約6,723億円で、配当の総額(年3,200億円ほど)を上回っています。ただし、訴訟の支払いが決まれば、現金も実際に出ていきます。
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配子出典
- 武田薬品工業「2026年度 第1四半期決算」(2026-07-30)・「アミティーザの反トラスト訴訟に関する業績への影響」(2026-06-05)・研究開発の見直しに関する発表(2026-10-01)
- 武田薬品工業 2025年度 決算説明資料(株主還元・資本配分の方針)
- IRBANK「武田薬品工業(4502)の業績」 https://irbank.net/4502/results ・「四半期」 https://irbank.net/4502/quarter ・「配当」 https://irbank.net/4502/dividend
この記事は点検日(2026年10月20日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。