保有銘柄の月次点検(配当目線)

【2026年10月点検】ERIホールディングス(6083)はホールドで大丈夫?配当目線で法改正・金利・決算をチェック

点検日 2026/10/10(土)   サービス業   株人(かぶと)
株人株人
今月の点検、今日はERIホールディングスだ。建物が法律どおりに建てられているかを審査する「建築確認検査」の最大手。私の高配当つみたて50銘柄のひとつで、今月から加わった。見るのはいつもどおり「この配当、これからも続くのか」だけだ。
ベアベア
株人さん、証券会社のアプリで見たら、配当が126円から44円になってたの。これって大きな減配じゃないかな……?
ブルブル
それは6月の株式分割(1株→3株)のせいだぜ! 3倍に直せば132円で、むしろ増配なんだって! 前期の利益なんて2.4倍だぜ!
ベアベア
でも、その利益って法律が変わったおかげなんでしょう? それに金利が上がって家が建たなくなったら、審査の仕事も減っちゃうよね……。
株人株人
いい論点だ。分割のからくり、法改正の追い風がどこまで続くか、そして「この会社の配当は業績連動だ」という点。全部「配当に響くかどうか」に引き直して見ていこう。結論は先に書いておく。
判定:安心してホールド 2026年10月の点検
  • 今期の配当予想は年44円(分割前に直すと132円)。前期126円から実質+6円の増配。さらに中期経営計画で2028年5月期に48円を目標に掲げている
  • 2025年4月の法改正で審査が増え、前期は営業利益2.4倍。第1四半期(6〜8月)も売上・営業利益とも+8.6%で、会社予想は据え置き
  • 弱点は配当が「配当性向30%目安」の業績連動であること。累進配当(減配しない約束)はない。法改正の追い風が弱まったときに利益を保てるかが見どころ
保有株数
8株
取得単価
1,381円
年間配当(予想)
352円
取得単価に対する利回り
3.19%
参考:評価額 10,752円・含み損益 −296円(判定には使っていません)。保有データは /dividend と同じで、毎営業日自動で更新されます。

ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていく。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線だ。

1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか

ERIは、建物を建てる前の「建築確認」、建てたあとの「完了検査」、住宅の性能を評価する「住宅性能評価」などを、国の指定を受けて行う会社だ。法律で必ず受けなければいけない審査なので、仕事の量は景気よりも法律の中身と着工の数で決まる。

その法律が、2025年4月に大きく変わった。すべての新築建物に省エネ基準への適合が義務になり、小さな木造住宅の審査を簡単にしていた特例も縮小された。審査が必要な建物と項目が一気に増え、手数料の改定も重なって、前期(2026年5月期)の業績は大きく伸びた。

項目2026年5月期前期比配当にとっては
売上高247億400万円+25.0%審査の量と単価が両方伸びた
営業利益49億4,300万円+141.7%稼ぐ力が一段上がった
純利益(親会社帰属)31億4,600万円+143.2%配当の直接の原資が2倍以上に
営業キャッシュフロー49億4,500万円前期 7億8,400万円現金の入りも大きく増えた

稼ぎの中心は、確認検査と住宅性能評価の事業だ。前期の営業利益は42億8,900万円で、全社の営業利益のほとんどを占める。道路や橋の点検、環境関連などの「インフラストック及び環境関連事業」は営業利益6億6,400万円で、M&Aで少しずつ広げている。

ブルブル
法律で「審査を受けなさい」って決まってるんだから、仕事がなくなることはないってことだな!
株人株人
そこが強みだ。ただ前期の伸びは「法改正の初年度」という特別な年の数字でもある。今期以降も同じ水準を保てるかは、四半期ごとに確かめる。

2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?

9月上旬から10月10日までの開示と報道を確かめた。減配の示唆・業績の下方修正・不祥事・訴訟・行政処分・大きな減損は見当たらなかった。

いちばん大きな材料は、9月30日の第1四半期決算(2026年6〜8月)だ。売上高は58億4,700万円(+8.6%)、営業利益は9億4,200万円(+8.6%)で、通期の業績予想と配当予想(年44円)は据え置き。会社は「順調な滑り出しで増収増益」とまとめている。

審査の件数も増えている。建築確認は17,948件(前年同期比+1,705件)、完了検査は15,555件(+413件)。7月には、企業の環境情報の開示などを支援するカーボンフリーコンサルティングを子会社にした。

ベアベア
悪い知らせがないのはよかった。でも、第1四半期の純利益は+0.6%しか増えてないよね……?
株人株人
そこは見ておく。本業の確認検査は営業利益が+15.4%と伸びている一方、M&Aで広げたインフラ・環境の事業が1億円の営業赤字で、全体の伸びを抑えた。配当を揺るがす大きさではないが、次の点検でも確かめる。

3. 金利の影響 ― 財務より「着工」を通じて効く

ERIは借入に頼った会社ではない。自己資本比率は54.5%(2026年8月末)、前期末の現金及び預金は82億円あった。日銀の利上げで支払う利息が増えて配当の原資が削られる、という心配は小さい。

効いてくるとしたら、住宅ローン金利が上がって家が建たなくなる経路だ。着工が減れば審査の件数も減る。ただ、会社によると第1四半期の新設住宅着工は持家・貸家・分譲のいずれも前年より増え、非住宅の着工床面積もおおむね増えていた。今のところ、金利上昇が仕事の量を減らしている様子は数字に出ていない。

配当目線での読み方:ERIの配当にとって金利は「財務のリスク」ではなく「着工のリスク」。見るべきは金利そのものより、四半期ごとの確認検査の件数だ。

4. 為替の影響 ― ほぼ無関係

ERIの仕事は日本の法律にもとづく国内の審査で、外国での売上はほとんどない。会社も為替の前提や感応度を出していない。円高・円安が直接利益を動かすことはなく、配当への影響はほぼないと見ている。

間接的には、円安で輸入の建築資材が高くなると、工事の開始が遅れて審査の時期がずれることはありうる。ただ、それは仕事が「なくなる」のではなく「後ろにずれる」話だ。

5. 地政学の影響 ― 資材の「目詰まり」に注意

ERI自身は海外に工場も取引網も持っていないので、紛争で業務が止まることはない。注意点は会社自身が書いている。7月の決算短信で、中東情勢の変化に伴う建築資材・設備の供給の偏りや目詰まりが解消に向かうか注視が必要、としている。

資材が届かず工期が延びれば、完了検査の時期も後ろにずれる。短い期間の業績の振れにはなりうるが、配当の原資そのものを削る話ではないと見ている。

ブルブル
金利も為替も中東も、直接は関係ないってことだな!
ベアベア
でも全部「着工が減ったら」にはつながってるよね。そこだけは忘れないでね。

6. 決算見通し ― 第1四半期は据え置き、下期に重い会社

今期(2027年5月期)の会社予想金額前期比第1四半期の進捗
売上高270億円+9.3%21.7%
営業利益53億3,000万円+7.8%17.7%
純利益(親会社帰属)32億8,000万円+4.2%16.0%
1株当たり利益(EPS)145.32円——

進捗は25%を下回っているが、会社は予想を変えていない。前年の第1四半期も営業利益は8億6,800万円で、通期では49億4,300万円まで積み上がった(第1四半期の比率は約18%)。今期の17.7%は前年とほぼ同じペースで、遅れているとは言えない。

次の第2四半期(中間期)の決算は12月下旬の見込みだ。

7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事

配当方針安定的配当の継続(配当性向の目安30%)。中期経営計画の最終年度(2028年5月期)の配当目標は年48円(7月に33円から引き上げ)。累進配当やDOEの約束はない
配当の推移(分割後に換算)2025年5月期 20円 → 2026年5月期 42円 → 今期予想 44円(中間22円・期末22円)→ 2028年5月期目標 48円。分割前の実額は 60円 → 126円 → (今期は分割後の44円)
配当性向前期 30.1%、今期予想 30.3%(44円 ÷ 予想EPS 145.32円)。目安どおり
現金で払えているか前期の営業キャッシュフロー49億4,500万円から投資キャッシュフロー13億1,200万円を引くと約36億円が残る。今期の配当総額は約10億円(44円×約2,245万株)で、十分にまかなえる
財務の余力自己資本比率 54.5%(2026年8月末)
減配の歴史2022年5月期以降、年間配当は40円→60円→60円→60円→126円(いずれも分割前)と、減らしていない
ベアベア
「配当性向30%」ってことは、利益が減ったら配当も減るってことだよね……?
株人株人
そのとおり。ここがこの銘柄のいちばん正直な弱点だ。積水ハウスのような「145円を下回らない」という床も、INPEXのような累進配当の約束もない。利益が半分になれば、配当も半分に近づくと考えておくべきだ。
ブルブル
でも会社は「2028年5月期に48円」って目標を出してるんだぜ! 今の44円より上だ!
株人株人
そう。しかもその目標は、業績が好調だったので7月に33円から48円へ引き上げたものだ。約束ではなく目標だが、経営陣が利益をさらに伸ばせると見ている表れだと受け止めている。配当性向30%は「利益が増えれば配当も増える」ということでもある。

株人の判断:ホールドで安心か

安心してホールド(継続)
  1. 今期も実質増配の予想で、2028年5月期に48円の目標がある。配当は「減る」より「増える」方向を向いている
  2. 仕事の量が法律で支えられている。2025年4月の法改正で審査の対象と項目が増え、第1四半期も確認検査の件数と利益が伸びた
  3. 現金と財務に余裕がある。配当総額は年約10億円に対して、前期は約36億円のお金が本業から残った。自己資本比率も54.5%

ただし正直に書いておくと、ERIの配当は業績連動だ。法改正の追い風が落ち着いたあとも利益を保てるか、着工が大きく減ったときに件数を守れるか。この2つが崩れれば、配当も一緒に下がる。だから毎回、確認検査の件数と利益を見ていく。

次の点検で見ること(2026年12月下旬の第2四半期決算)
  • 年間配当予想44円・通期予想に変更がないか
  • 建築確認・完了検査の件数が前年を上回っているか
  • インフラ・環境の事業の赤字(第1四半期 −1億円)が縮んでいるか

よくある質問

ERIホールディングスの配当が126円から44円に減ったのは減配ですか?
減配ではありません。2026年6月1日に1株を3株に分ける株式分割をしたためです。分割前に直すと今期の予想は132円で、前期の126円から実質6円の増配です。
ERIホールディングスの配当はいつ、いくらもらえますか?
今期(2027年5月期)の予想は年44円で、中間22円・期末22円です。権利確定は11月末(中間)と5月末(期末)です。
ERIホールディングスは減配の心配はありますか?
2026年10月時点では小さいと見ています。今期も実質増配の予想で、中期経営計画では2028年5月期に年48円を目標にしています。ただし配当方針は配当性向30%を目安とする業績連動で、累進配当の約束はありません。利益が大きく減れば配当も減る可能性があります。
ベアベア
分割で減ったように見えただけで、本当は増配だったんだね。でも「業績連動」ってことは、件数はずっと見ておかないとね。
株人株人
そういうことだ。今月のERIは安心してホールド。株価がどう動いても、配当が続く限り私は持ち続ける。12月の決算を見て、また点検しよう。

出典

  • ERIホールディングス「2027年5月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026-09-30) https://www2.jpx.co.jp/disc/60830/140120260928540983.pdf
  • ERIホールディングス「2027年5月期 第1四半期決算説明資料」(2026-09-30) https://www2.jpx.co.jp/disc/60830/140120260930542580.pdf
  • ERIホールディングス「2026年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026-07-14) https://www2.jpx.co.jp/disc/60830/140120260713591776.pdf
  • ERIホールディングス「2026年5月期 決算説明資料」(2026-07-14) https://www2.jpx.co.jp/disc/60830/140120260713592584.pdf

この記事は点検日(2026年10月10日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。

この点検について
毎月1回、配当目的で持っている銘柄に「配当を脅かすニュース」が出ていないかを確かめています。見るのは株価ではなく、配当が続くか・増えるか・減るか。
安心 配当は守られている
注意 気になる材料あり。次の決算を見る
要再考 減配のおそれ。保有を見直す
免責:当ページは運営者「株人(かぶと)」が保有銘柄を点検した記録であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。 点検日時点の情報にもとづきます。投資判断はご自身の責任で行ってください。