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株人- 今期の配当予想は年67円(前期62円から+5円)。2024年度から累進配当(基本的に減配しない)を導入し、配当性向を2029年にかけて45%へ引き上げる方針
- 利上げで支払利息は増えているが、中間期は営業利益+7.0%・純利益+11.3%と、利息の増加を本業の伸びで吸収している
- 弱点は借入の多さ。自己資本比率は26.0%で、物件の購入で借入が増え続けている。金利の上がり方は毎回見る
ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていく。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線だ。
1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか
ヒューリックの本業は、東京の都心にあるオフィスビルや商業施設を貸すことだ。持っている物件の67%が東京23区にあり、72%が駅から徒歩5分以内(うち32%は徒歩1分以内)。立地が良いのでテナントが出ていきにくく、景気が悪いときも空室が増えにくい。
もう一つの特徴は、社員が234人(2025年12月末)と少ないことだ。人件費などの固定費が軽く、売上に対する利益の割合がとても高い。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業収益(売上) | 5,916億円 | 7,274億円(+23.0%) |
| 営業利益 | 1,634億円 | 1,868億円 |
| 経常利益 | 1,543億円 | 1,729億円 |
| 純利益(親会社帰属) | 1,023億円 | 1,143億円 |
賃貸の収入が安定しているうえに、販売用の不動産の売却も順調で、利益は毎年積み上がっている。配当の原資を稼ぐ力は保たれている。
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株人2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?
9月中旬から10月11日までの開示と報道を確かめた。業績の下方修正・減配の示唆・不祥事・訴訟・行政処分・格下げ・大きな減損は見当たらなかった。
9月18日には、ホテル業界のデジタル化を進める会社(SQUEEZE)との資本業務提携を発表した。ヒューリックはホテルも多く持っているので、運営の効率が上がれば利益の上乗せになる。9月25日には、ヒューリックが後ろ盾になっているヒューリックリート投資法人が物件の入れ替えを発表した。どちらも配当を変えるほどの話ではないが、悪い材料ではない。
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株人3. 金利の影響 ― この会社でいちばん大事な項目
ヒューリックは、銀行から借りたお金で都心の物件を買って育てる会社だ。だから金利の上昇は、利息の支払いの増加としてそのまま効く。
| 有利子負債 | 約6,653億円(2021年12月期)→ 約2兆2,112億円(2025年12月期)→ 約2兆2,753億円(2026年6月末) |
|---|---|
| 支払利息 | 102億円(2021年12月期)→ 217億円(2025年12月期)。今期の中間期は、金利そのものの上昇で、年に直すと約96億円の増加ペース |
| 利息を払う力 | 営業利益は支払利息の13.5倍(2026年6月末) |
| 借入の長さ | 長期の借入が95.5%。金利が上がっても、全部の借入の利息が一度に上がるわけではない |
利息は確かに増えている。それでも中間期の純利益は+11.3%で、本業の伸びが利息の増加を上回った。金利が上がる局面は物価も上がる局面で、建築費が高くなって新しいビルが建ちにくくなる。東京の主要7区のオフィスの空室率は2026年6〜8月に2.23〜2.40%と低く、募集賃料は上がっている。既にビルを持っている会社には、家賃を上げやすい環境だ。
4. 為替の影響 ― 間接的で、小さい
国内の不動産が中心なので、為替の影響は小さい。円安のときは、外国からの旅行者が増えてホテルの稼働と単価が上がる。2025年9月に取得した浅草ビューホテルでは、改装した客室の1室あたりの収入が前年より76%増えた。一方で、建築資材の輸入価格が上がり、新しい開発のコストは重くなる。
円高ならホテルは弱くなるが、建築コストは下がる。どちらに振れても片方が片方を打ち消すので、為替で配当が揺らぐことは考えにくい。
5. 地政学の影響 ― 建築費として効く
中東の情勢や米国の通商政策で、エネルギーや資材が高くなれば、建て替えや開発のコストが膨らみ、工期が延びるおそれがある。会社自身もこれをリスクに挙げている。
ただ、それで遅れるのは「これから建てる物件」だ。すでに家賃を生んでいる物件の収入(今の配当の原資)が削られるわけではない。新しいビルが建ちにくくなるほど、既にあるビルの価値は上がる。
ブル6. 決算見通し ― 中間期は増収増益
| 今期(2026年12月期)の会社予想 | 金額 | 前期比 | 中間期の実績 |
|---|---|---|---|
| 営業収益(売上) | 開示なし | — | 4,166億円(+38.8%) |
| 営業利益 | 2,100億円 | +12.4% | 803億円(+7.0%) |
| 経常利益 | 1,850億円 | +7.0% | — |
| 純利益(親会社帰属) | 1,210億円 | +5.8% | 500億円(+11.3%) |
中間期の純利益は通期予想の41%。半分に届いていないが、不動産会社は物件の売却益が下期、特に年末に寄りやすい。会社は「賃貸収入は安定し、販売用不動産の売却も順調」として予想を変えていない。
次の第3四半期(1〜9月)の決算は、例年どおりなら10月下旬〜11月初めに出る(日付は会社の発表待ち)。
7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事
| 配当方針 | 2024年度から累進配当(基本的に減配は行わない)。中長期経営計画で、配当性向を2029年にかけて段階的に45%へ引き上げる |
|---|---|
| 配当の推移 | 2024年12月期 54円 → 2025年12月期 62円 → 今期予想 67円(中間33.5円・期末33.5円)。14期連続の増配 |
| 配当性向 | 2024年12月期 40.1% → 2025年12月期 41.1%。目標の45%まで引き上げの余地がある(今期の1株利益予想は159.33円) |
| 現金の流れ | 2025年12月期の営業キャッシュフローは2,692億円。一方で物件の取得などの投資キャッシュフローは−5,445億円で、差し引きはマイナス。足りない分は借入でまかなっている |
| 財務の余力 | 自己資本比率 26.0%(2025年12月期末)。日本格付研究所(JCR)の格付け AA−(安定的)。満期の長い劣後債(ハイブリッド債)を使っていて、格付け上は資本に近いものとして扱われる |
| 減配の歴史 | 2012年以降、増配を続けている |
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株人株人の判断:ホールドで安心か
- 累進配当を掲げ、14期連続の増配。配当性向を45%へ引き上げる計画もあり、増配の「のりしろ」がある
- 利上げの負担を本業の伸びで吸収できている。支払利息は増えているが、中間期の純利益は+11.3%。営業利益は支払利息の13.5倍ある
- 都心・駅近の物件で家賃が安定している。東京主要7区の空室率は2%台と低く、賃料は上がっている
ただし正直に書いておくと、借入の多さは50銘柄の中でも目立つ。自己資本比率は26.0%で、物件を買うたびに借入が増えている。金利が急に大きく上がった場合は判定が変わりうる。それでも、配当が「減る」方向の材料は今のところ見当たらない。
- 年67円の配当予想が変わらないか
- 支払利息の増え方が、営業利益の伸びの内側に収まっているか
- 純利益が通期予想1,210億円に向けて進んでいるか(不動産の売却は年末に寄りやすい)
よくある質問
- ヒューリックは減配の心配はありますか?
- 2026年10月時点では小さいと見ています。2024年度から基本的に減配しない累進配当を導入し、14期連続で増配しています。配当性向は41.1%で、2029年にかけて45%へ引き上げる計画です。ただし借入が多いので、金利の急上昇には注意が要ります。将来を約束するものではありません。
- ヒューリックの配当はいつ、いくらもらえますか?
- 今期(2026年12月期)の予想は年67円で、中間33.5円・期末33.5円です。12月決算なので、権利確定は6月末(中間)と12月末(期末)です。
- 金利が上がるとヒューリックの配当は減りますか?
- 支払利息は増えますが、今のところ本業の利益の伸びと家賃の上昇で吸収できています。借入の95.5%が長期で、金利の上昇が一度に効く作りでもありません。金利が急に大きく上がった場合は注意が必要です。
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株人出典
- ヒューリック「2025年12月期 決算短信」・「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信」
- ヒューリック「中長期経営計画(2026〜2036年)」・株主還元方針 https://www.hulic.co.jp/ir/
- ヒューリック「株式会社SQUEEZEとの資本業務提携に関するお知らせ」(2026-09-18)
- ヒューリックリート投資法人「資産の取得及び譲渡に関するお知らせ」(2026-09-25)
- IRBANK「ヒューリック(3003)の業績」 https://irbank.net/3003/results
- 「東京オフィスマーケット動向 空室率・平均募集賃料」(2026年8月末・PR TIMES)
この記事は点検日(2026年10月11日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。