保有銘柄の月次点検(配当目線)

【2026年10月点検】王子HD(3861)はホールドで大丈夫?配当目線で下限24円・配当性向87%・本業の利益をチェック

点検日 2026/10/20(火)   パルプ・紙   配子(はいこ)
配子配子
こんにちは、配子です。今日は王子ホールディングスを点検します。紙や段ボール、ティッシュやおむつ、パルプをつくる、日本最大の製紙会社ですね。10月に足した20銘柄のひとつで、少しずつ買いはじめたところです。夫は持っていない、わたしだけの銘柄です。見るのは「この配当、これからも続くのかしら」だけです。
ブルブル
配子さん、王子は配当を2年で16円から36円に増やしたんだぜ! しかも「年24円が下限」って決めてるんだ!
ベアベア
でも今期の純利益の予想は350億円で、前の期より37%も減るの。配当性向は87%まで上がっちゃうよ…。
ブルブル
本業の営業利益は、前の期の346億円から600億円に戻る予想だぜ!
配子配子
下限が24円で、今の配当が36円。そのあいだの12円が守られるかが心配ですね。順に見ていきましょう。結論は先に書いておきます。
判定:注意しながらホールド 2026年10月の点検
  • 今期の配当予想は年36円(中間18円・期末18円)で、前期と同じ。会社は中期経営計画2027で、配当性向を50%に引き上げ、年24円を下限にしている。2015年3月期から減配はない
  • ただ、今期の純利益の予想は350億円(−37%)で、配当性向は約87%。方針の50%を大きく超える。下限は24円なので、方針の範囲のなかで36円から減らす余地がある
  • 第1四半期は純利益が黒字に戻ったが、通期予想に対して9%しか進んでいない(例年は35〜41%)。借入も増えている
保有株数
0.1176株
取得単価
850円
年間配当(予想)
4円
取得単価に対する利回り
4.24%
参考:評価額 98円・含み損益 −2円(判定には使っていません)。保有データは /haiko と同じで、毎営業日自動で更新されます。

ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていきます。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線です。

1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか

項目2024年3月期2025年3月期2026年3月期今期予想
売上高1兆6,962億円1兆8,492億円1兆8,617億円1兆9,400億円
営業利益726億円677億円346億円600億円
純利益508億円462億円556億円350億円
営業キャッシュフロー2,029億円944億円1,134億円—
自己資本比率43.7%41.8%41.0%—

王子ホールディングスは、段ボールや包装の紙、ティッシュやおむつなどの生活用品、新聞や印刷の紙、そして海外のパルプや植林の事業を持つ会社です。新聞や印刷の紙は、デジタル化で長く減り続けています。

本業の稼ぎを示す営業利益は、3年で726億円から346億円まで下がりました。前期(2026年3月期)の純利益が556億円と営業利益より大きいのは、本業以外の利益が入っていたためです。今期はそれがなくなり、純利益は350億円に減る予想です。

ベアベア
本業の稼ぎが3年で半分になってるんだね。配当を2倍以上にしたのに…。

2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?

9月下旬から10月20日までに、業績の下方修正、減配の示唆、大きな減損、事業の売却といった目立った悪材料は見当たりませんでした。

8月の第1四半期決算では、通期の予想(営業利益600億円)と年36円の配当予想を据え置きました。中東の情勢による原燃料の値上がりの影響は年150億円ほどと見ていて、それを製品の値上げで吸収する前提です。値上げが通るかが、今期の利益と配当のかぎになります。

3. 金利の影響 ― 借入が多い

有利子負債は、2024年3月期の約7,367億円から2026年3月期は約9,559億円に増えました。第1四半期でも、純有利子負債は前期末より797億円増えています。製紙は大きな工場や植林に投資が要る事業で、借入が多めです。

日銀の利上げが続くと、この借入の利息が増え、配当のもとになる利益を削ります。本業の利益が細っている今は、金利の上昇が効きやすい状態です。

4. 為替の影響 ― 円高はプラスの面も

王子は、パルプや燃料などを海外から買う一方、海外でパルプや段ボールの事業もしています。円高になると、輸入する原燃料が安くなり国内の事業にはプラス、海外の利益は円に直して減ります。国内の比重が大きいので、円高が全体としてプラスに働く面があります。

5. 地政学の影響 ― 原燃料の値段

中東の情勢で原油やガス、輸送費が上がると、紙をつくるコストが上がります。会社は年150億円ほどの悪化を見込み、値上げで吸収する計画です。値上げが遅れれば、今期の利益の予想が下がり、配当性向はさらに上がります。

ブルブル
段ボールは通販が増えるほど使う。値上げも、必要な物だから通りやすいはずだぜ!

6. 決算見通し ― 第1四半期の利益は遅れ気味

項目今期(2027年3月期)の会社予想第1四半期の実績(4〜6月)進み具合(例年)
売上高1兆9,400億円4,685億円(+2.4%)24.2%(23〜25%)
営業利益600億円39億円(+4.8%)6.5%(12〜26%)
純利益350億円32億円(前年は52億円の赤字)9.0%(35〜41%)

純利益は前年の赤字から黒字に戻りましたが、通期予想に対する進み具合は例年よりかなり遅れています。会社は値上げの効果が後半に出る前提で予想を据え置いています。次は11月の中間決算です。

7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事

配当方針中期経営計画2027で、配当性向を30%から50%に引き上げ、1株あたりの年間配当は24円を下限とする。自社株買いは3年で500億円を予定
配当の推移2015年3月期〜2018年3月期 10円 → 2019年3月期 12円 → 2020年〜2022年3月期 14円 → 2023年・2024年3月期 16円 → 2025年3月期 24円 → 2026年3月期 36円 → 今期予想 36円(中間18円・期末18円)。2015年3月期から減配はない
配当性向2025年3月期 50.7% → 2026年3月期 58.9%。今期は予想の1株利益41.21円に対して約87%
現金の流れ2026年3月期の営業キャッシュフローは1,134億円、フリーキャッシュフローは1,009億円のプラス(2025年3月期は605億円のマイナス)
財務の余力自己資本比率 41.0%・有利子負債 約9,559億円(2026年3月末)
ベアベア
配当性向50%の方針で、今期の利益なら20円くらいだよね。下限の24円まで下げても「約束どおり」ってことになっちゃう…。
配子配子
そこがいちばんの心配です。会社は今期も36円を出す予想で、前期のフリーキャッシュフローは1,000億円を超えたので、払う力はあります。でも、方針の配当性向50%で計算すると、36円は今期の利益の予想ではまかなえません。わたしは「減配したら売る」と決めています。下限の24円は守られても、36円から減らされたら、それは減配です。だから今月は「注意」にします。
ブルブル
営業利益が600億円まで戻れば、話は変わる。値上げの効き目が勝負だな!

配子の判断:ホールドで安心か

注意しながらホールド(継続)
  1. 下限と減配なしの実績はある。年24円の下限を決め、2015年3月期から減配なし。今期も36円の予想で、前期のフリーキャッシュフローは1,009億円
  2. でも、今の配当は方針を超えている。今期の予想の配当性向は約87%で、方針の50%を大きく上回る。下限の24円までは、方針の範囲で下げられる
  3. 本業の利益が細っている。営業利益は3年で半分以下。第1四半期の利益の進み具合は例年より遅く、借入も増えている。ここが「注意」にした理由

王子ホールディングスは、配当を大きく増やした一方で、本業の利益が下がっている会社です。今期は値上げで利益を戻す計画で、それが通るかどうかで、36円が続くかが決まります。中間決算で、利益の予想と36円の配当予想が保たれるかを見ます。

次の点検で見ること
  • 11月の中間決算:営業利益600億円・純利益350億円の予想と、年36円の配当予想が保たれるか
  • 値上げが進んで、原燃料の値上がり(年150億円)を吸収できているか
  • 有利子負債の増え方

よくある質問

王子ホールディングスは減配したことがありますか?
2015年3月期以降、年間配当が前の期を下回ったことはありません(据え置きの年はあります)。今の中期経営計画では、年間配当24円を下限としています。2027年3月期は36円の予想です。将来を約束するものではありません。
王子ホールディングスの配当はいつ、いくらもらえますか?
2027年3月期の予想は年36円(中間18円・期末18円)です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
下限配当24円とは何ですか?
業績が悪い年でも、1株あたりの年間配当は24円を下回らないようにする、という会社の方針です。今の36円より低い金額なので、36円が必ず続くという意味ではありません。会社の方針であり、どんな状況でも守られると保証するものではありません。
ベアベア
24円の下限は安心材料。でも36円が続くかは、値上げしだいなんだね。
配子配子
はい。今月の王子ホールディングスは注意しながらホールド。11月の中間決算で、もう一度見ますね。

出典

  • 王子ホールディングス「2027年3月期 第1四半期決算短信」(2026-08-05)・2026年3月期 決算説明資料(2026-05)
  • 王子ホールディングス「中期経営計画2027」(2025-05)
  • IRBANK「王子ホールディングス(3861)の業績」 https://irbank.net/3861/results ・「四半期」 https://irbank.net/3861/quarter ・「配当」 https://irbank.net/3861/dividend

この記事は点検日(2026年10月20日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。

この点検について
毎月1回、配当目的で持っている銘柄に「配当を脅かすニュース」が出ていないかを確かめています。見るのは株価ではなく、配当が続くか・増えるか・減るか。
安心 配当は守られている
注意 気になる材料あり。次の決算を見る
要再考 減配のおそれ。保有を見直す
免責:当ページは運営者「株人(かぶと)」が保有銘柄を点検した記録であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。 点検日時点の情報にもとづきます。投資判断はご自身の責任で行ってください。