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配子- 配当は2026年3月期に分割調整後で年32円→24円に減配した。今期も年24円の予想。会社は2030年度までの計画で「下限配当24円」を約束した
- 前期の純利益はUSスチールの買収にともなう損失で172億円まで落ちたが、今期は第1四半期で753億円を稼ぎ、通期の予想を2,900億円に上方修正した。配当性向は約43%に戻る見込み
- ただ、有利子負債は約5.2兆円に増え、自己資本比率は37.7%に下がった。前期のフリーキャッシュフローは約2.1兆円のマイナスで、配当は借入に頼って払っている。増配の余地はほとんどない
ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていきます。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線です。
1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 今期予想(8月修正後) |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 約8.87兆円 | 約8.70兆円 | 約10.1兆円 | 約11.2兆円 |
| 純利益 | 5,494億円 | 3,502億円 | 172億円 | 2,900億円 |
| 営業キャッシュフロー | 1.01兆円 | 0.98兆円 | 0.72兆円 | — |
| 自己資本比率 | 44.6% | 49.2% | 37.7% | — |
日本製鉄は、車や建物、機械に使う鋼材をつくる日本最大の鉄鋼メーカーです。2025年にアメリカのUSスチールを買収し、売上は10兆円を超えました。
前期(2026年3月期)の純利益が172億円まで落ちたのは、買収にともなう一時的な損失が大きかったためです。今期は第1四半期(4〜6月)で純利益753億円、本業の稼ぎを示す事業利益は1,455億円(前年同期比+58.1%)と回復しています。国内は中東情勢による輸送費の増加などで減益でしたが、USスチールを中心とする海外がそれを補いました。
ブル2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?
9月下旬から10月20日までに、業績の下方修正、減配の示唆、不祥事、大きな訴訟といった目立った悪材料はありませんでした。
配当にとっての追い風は、鋼材の値上げです。10月の契約分から薄板の追加の値上げを打ち出し、今年度の値上げは合計でトンあたり2万円になると報じられています。同業のJFEスチールの千葉の製鉄所が豪雨や台風で減産していることも、国内の鋼材の需給を引き締め、値上げを通しやすくしています。
3. 金利の影響 ― いちばんの課題
USスチールの買収で、有利子負債は約5.17兆円(2026年3月末)と、1年で2倍近くに増えました。自己資本比率は49.2%から37.7%に下がっています。第1四半期は支払利息などの金融費用が前の年より大きく増えました。
日銀の利上げが続けば、この大きな借入の利息がさらに増え、配当のもとになる純利益を削ります。会社は2030年度に向けて借入の比率を下げる目標を立てていて、稼いだ現金はまず借入の返済に回ることになります。配当を増やす余裕は、しばらく乏しいと見ています。
4. 為替の影響 ― 今は円安が利益を押し上げている
海外で稼ぐ割合が大きくなったので、円安ならUSスチールなどの利益が円に直して増え、円高なら減ります。第1四半期は円安と原料の値上がりで、在庫の評価益(約502億円)も利益を押し上げました。会社は今期の為替を1ドル160円の前提で見込んでいます。
大きな円高が来ると、この評価益がはげ落ち、利益の予想が下がるおそれがあります。下限の24円がすぐに崩れるとは考えていませんが、配当性向は上がり、財務の重さが増します。
5. 地政学の影響 ― 中国の鋼材と中東
中国では不動産の不況で鋼材が余り、安い中国の鋼材がアジアに流れ込んで、値段を押し下げています。中東の情勢で輸送のルートや燃料費も上がり、会社は今期の事業利益に約600億円のマイナスになると見込んでいます。
そのなかで、関税で中国の鋼材から守られたアメリカの市場に工場を持ったことは、リスクを分ける形になりました。国内の不調をアメリカの利益で補えるのは、配当にとってプラスです。
ベア6. 決算見通し ― 第1四半期は黒字に戻った
| 項目 | 今期(2027年3月期)の会社予想 | 第1四半期の実績(4〜6月) |
|---|---|---|
| 売上収益 | 約11.2兆円 | 2兆8,212億円 |
| 事業利益 | 7,000億円以上 | 1,455億円(+58.1%) |
| 純利益 | 2,900億円(2,200億円から上方修正) | 753億円 |
純利益は通期予想の約26%まで進みました。8月には、USスチールの稼ぎや値上げの浸透を織り込んで、純利益の予想を2,200億円から2,900億円に引き上げています。次の中間決算の発表は2026年11月5日の予定です。
7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事
| 配当方針 | 連結配当性向30%程度を目安にしつつ、「2030中長期経営計画」(2026〜2030年度)で下限配当(年24円)を導入した |
|---|---|
| 配当の推移 | 分割を調整した1株あたりで、2019年3月期 16円 → 2020年3月期 2円 → 2021年3月期 2円 → 2022年3月期 32円 → 2023年3月期 36円 → 2024年3月期 32円 → 2025年3月期 32円 → 2026年3月期 24円 → 今期予想 24円(中間12円・期末12円)。2025年10月1日に1株を5株に分割 |
| 配当性向 | 2026年3月期は純利益が小さかったため約730%。今期は予想の1株利益55.49円に対して約43% |
| 現金の流れ | 2026年3月期の営業キャッシュフローは約0.72兆円だったが、買収などの投資でフリーキャッシュフローは約2.12兆円のマイナス。配当の支払い(約1,465億円)は借入でまかなった形 |
| 財務の余力 | 自己資本比率 37.7%・有利子負債 約5.17兆円(2026年3月末) |
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ブル配子の判断:ホールドで安心か
- 24円の下限がある。2030年度までの計画で下限配当24円を約束し、純利益が172億円だった前期も配当を払った
- 利益は戻りつつある。今期は純利益2,900億円に上方修正し、配当性向は約43%に戻る見込み
- でも借入が重く、減配の前歴が多い。有利子負債約5.2兆円、フリーキャッシュフローは大きなマイナス。配当は2020年・2021年3月期に2円まで、2026年3月期にも減った。ここが「注意」にした理由
日本製鉄は、わたしの50銘柄のなかでいちばん景気と借入の影響を受けやすい会社です。配当は24円の下限で守られていますが、それを支えているのは借入です。中間決算で、利益の回復が続いているか、借入が減りはじめているかを見ます。
- 2026年11月5日の中間決算:中間配当12円の決議と年24円の予想。純利益2,900億円の予想が保たれるか
- 支払利息の増え方と、有利子負債が減りはじめているか
- フリーキャッシュフローのマイナスが小さくなっているか
よくある質問
- 日本製鉄は減配しましたか?
- はい。株式分割を調整した1株あたりの年間配当は、2025年3月期の32円から2026年3月期は24円に減りました。2027年3月期も24円の予想です。会社は2030年度までの中長期経営計画で、下限配当を年24円としています。将来を約束するものではありません。
- 日本製鉄の配当はいつ、いくらもらえますか?
- 2027年3月期の予想は年24円(中間12円・期末12円)です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
- 下限配当とは何ですか?
- 業績が悪い年でも、この金額は下回らないように配当を払う、という会社の目安です。日本製鉄は配当性向30%程度を目安にしつつ、年24円を下限にしています。会社の方針であり、どんな状況でも必ず払うと保証するものではありません。
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配子出典
- 日本製鉄「2026年度 第1四半期決算」(2026-08)・業績予想の修正
- 日本製鉄「2030中長期経営計画」(2025-12-12)・個人投資家向け説明会資料
- IRBANK「日本製鉄(5401)の業績」 https://irbank.net/5401/results ・「四半期」 https://irbank.net/5401/quarter ・「配当」 https://irbank.net/5401/dividend
この記事は点検日(2026年10月20日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。