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株人- 今期の配当予想は年90円(前期80円から+10円)。累進配当(減らさない)を基本に、配当性向は35%程度を目安にする。IRBANK の2010年以降の記録に減配はない
- ロシア関連の損失で純利益が48億円に落ちた2023年3月期も配当は据え置いた。前期はバイオマス発電の大きな減損を出しても純利益1,113億円で過去最高
- 気になるのは、リース会社の性質上、借入が約5.3兆円と大きく、自己資本比率が約16%と低いこと。金利と資金を借りる力に業績が左右される
ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていく。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線だ。
1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 今期予想 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆3,461億円 | 1兆3,686億円 | 1兆4,576億円 | — |
| 営業利益 | 1,042億円 | 1,171億円 | 1,483億円 | — |
| 純利益 | 721億円 | 853億円 | 1,113億円 | 1,230億円 |
| 1株利益(分割後) | 147.32円 | 174.51円 | 227.82円 | 251.57円 |
柱は3つある。国内のリース、米国の子会社ACGを通じた航空機リースなどの国際事業、再生可能エネルギーなどの環境・インフラ事業だ。前期はバイオマス混焼の発電事業で税引き後468億円の大きな減損を出した(1〜3月期は純利益が赤字)が、航空機や船舶の売却益などで補い、年間では過去最高益になった。
今期は純利益1,230億円(+10.5%)の予想で、新しい中期経営計画2030の初年度にあたる。
ブル2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?
9月中旬から10月15日までを確かめたが、業績の下方修正、減配の示唆、不祥事、新たな大型の減損といった目立った悪材料はなかった。9月には、カーボンニュートラルに向けた中長期の目標を決め、福岡県で蓄電池つきの太陽光発電所の運転を始めている。配当を左右する大きさではない。
3. 金利の影響 ― いちばん効く要素
リース会社は、借りたお金で設備や飛行機を買い、貸し出してリース料を受け取る。リース料と借入の利息の差が稼ぎなので、金利は利益に直接効く。2026年6月末の有利子負債は約5兆3,464億円だ。
会社は、固定金利で貸す分は固定金利で借りるなど、貸し方と借り方の金利をそろえて管理しているので、利上げで今あるリースの利益がすぐ消えるわけではない。新しいリースは、上がった利息分をリース料に乗せる。急な利上げで価格への転嫁が遅れると、一時的に利ざやが縮むことはありうる。米国の航空機リースは、新しい飛行機が世界的に足りず貸し手が強い状況で、ドルの金利が高くてもリース料を上げやすい。
4. 為替の影響 ― 円高は利益を削る
米国の航空機リースなど海外の利益が大きいので、円高は利益を減らし、円安は増やす。中期経営計画の為替の前提は1ドル150円だ。円高で利益が目減りしても、会社は累進配当を基本にしているので、配当性向を一時的に上げる形で吸収できる範囲だ。
5. 地政学の影響 ― 実際に経験している
飛行機や船を世界に貸す会社にとって、地政学は最大のリスクだ。東京センチュリーは、ロシアのウクライナ侵攻で、ロシアの航空会社に貸していた機体が戻ってこなくなり、大きな損失を出した。2023年3月期の純利益は48億円まで落ちた。
それでも、その年の配当は前の年と同じ35.75円(分割後)に据え置いた。最悪の事態でも配当を減らさなかった実績がある。
ベア6. 決算見通し ― 第1四半期は大幅な増益
| 項目 | 今期(2027年3月期)の会社予想 | 第1四半期の実績(4〜6月) |
|---|---|---|
| 売上高 | — | 3,884億円(+11.7%) |
| 営業利益 | — | 463億円(+31.1%) |
| 経常利益 | — | 511億円(+36.9%) |
| 純利益 | 1,230億円 | 351億円(+59.1%) |
純利益の進捗は通期予想の約29%で、目安の25%を上回る。航空機や船舶の売却益、持分法の利益が伸びた。売却益は時期によって波があるので、四半期ごとの利益はぶれやすい。次の第2四半期(中間期)の決算発表は2026年11月上旬の予定だ。
7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事
| 配当方針 | 累進配当を基本としつつ、利益の成長による増配を目指す。配当性向は35%程度(2026年5月に新しい中期経営計画で35%以上に引き上げたと報じられている) |
|---|---|
| 配当の推移 | 分割後で、2021年3月期 34.5円 → 2022年3月期 35.75円 → 2023年3月期 35.75円(据え置き)→ 2024年3月期 52円 → 2025年3月期 62円 → 2026年3月期 80円 → 今期予想 90円(中間45円・期末45円)。IRBANK の2010年以降の記録に減配はない(2024年1月1日に1株を4株に分割。分割を調整した値) |
| 配当性向 | 今期は予想の1株利益251.57円に対して約36% |
| 現金の流れ | フリーキャッシュフローは年によって大きなマイナス(2026年3月期 約−1,389億円)。リース会社は貸し出す設備や飛行機を先に買うので、ふつうのこと。配当の支払い(約338億円)は、利益と借入でまかなっている |
| 財務の余力 | 自己資本比率 15.6%・有利子負債 約5兆3,464億円・現金 約2,786億円(2026年6月末)。リース会社としては標準的な水準 |
ベア
株人
ブル株人の判断:ホールドで安心か
- 減らさない約束と実績がある。累進配当を基本とし、ロシア関連の損失で利益が落ちた年も配当を据え置いた。2010年以降に減配はない
- 稼ぐ場所が多い。大きな減損を出した前期も過去最高益。今期も純利益1,230億円の予想で、第1四半期は+59%
- 配当性向は約36%。利益の6割以上を手元に残している
正直に書いておくと、東京センチュリーは借入が大きく、自己資本比率は約16%と低い。リース会社としてはふつうだが、金利の急上昇や資金を借りる環境の悪化、地政学の事件で利益が大きく揺れる業種だ。ロシアの件のように、実際に大きな損失も経験している。減配の心配はしていないが、利ざやと減損の有無は毎回確かめる。
- 2026年11月上旬の中間決算:中間配当45円の決議と年90円の予想。純利益が通期1,230億円に向けて進んでいるか
- 新たな減損の有無(エネルギー事業・海外)
- 金利の上昇がリースの利ざやにどう効いているか
よくある質問
- 東京センチュリーは減配の心配はありますか?
- 2026年10月時点では、減配の材料は見当たりません。累進配当を基本とし、今期は年90円(前期80円)の予想です。ロシア関連の損失で利益が大きく落ちた2023年3月期も配当を据え置き、IRBANK の2010年以降の記録に減配はありません。ただし借入が大きく、金利や地政学で利益が揺れやすい業種です。将来を約束するものではありません。
- 東京センチュリーの配当はいつ、いくらもらえますか?
- 今期(2027年3月期)の予想は年90円(中間45円・期末45円)です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
- 自己資本比率が15%台と低いのは危なくないですか?
- リース会社は、借りたお金で設備や飛行機を買って貸し出すのが本業なので、借入が大きく自己資本比率が低いのがふつうです。大切なのは利益が出続けていることと、資金を借りる力が保たれていることです。
ベア
株人出典
- 東京センチュリー「2027年3月期 第1四半期決算短信」・決算説明資料(2026-08)
- 東京センチュリー「2026年3月期 決算短信」・中期経営計画2030(2026-05)・有価証券報告書の株主還元の方針
- 東京センチュリー ニュースリリース(2026-09 カーボンニュートラルに向けた中長期目標、蓄電池併設の太陽光発電所の運転開始)
- IRBANK「東京センチュリー(8439)の業績」 https://irbank.net/8439/results ・「財務」 https://irbank.net/8439/bs ・「配当」 https://irbank.net/8439/dividend
この記事は点検日(2026年10月15日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。