保有銘柄の月次点検(配当目線)

【2026年10月点検】関西電力(9503)はホールドで大丈夫?配当目線で原発・過去の無配・増配方針をチェック

点検日 2026/10/16(金)   電気・ガス業   配子(はいこ)
株人株人
今月の点検、今日は関西電力だ。関西に電気を届ける大手電力会社で、原子力発電所を7基動かしているのが特徴だ。10月に買い付けた、高配当つみたて50銘柄の新しい仲間だ。見るのはいつもどおり「この配当、これからも続くのか」だけだ。
ベアベア
株人さん、関西電力って、震災のあと原発が止まって4年間も無配だったんだよね…。それに4〜6月は営業利益が8割以上減ったって。
ブルブル
でも今は原発がしっかり動いてるぜ! 配当も75円から80円に増やす予想で、「配当を維持か増配する」って方針も出したんだ!
ベアベア
美浜の3号機は、今年2回も止まってるよね…。
株人株人
過去の無配を忘れずに、今の稼ぐ力を見ていこう。結論は先に書いておく。
判定:安心してホールド 2026年10月の点検
  • 今期の配当予想は年80円(前期75円から+5円)。2026年度から配当性向25〜35%を目安に配当の維持または増配に努める方針。今期の予想配当性向は約29%
  • 原発の安定した稼働で、純利益は3年続けて3,800億円以上。今期は3,100億円に減る予想だが、配当(約670億円)の4倍以上ある。フリーキャッシュフローで配当をまかなえている
  • 忘れてはいけないのは、原発が止まった2013〜2016年3月期に無配だったこと。今も利益は原発の稼働に大きく左右される。第1四半期の大きな営業減益は、燃料費の調整の時期のずれによるもの
保有株数
0.0375株
取得単価
2,664円
年間配当(予想)
3円
取得単価に対する利回り
3.00%
参考:評価額 102円・含み損益 +2円(判定には使っていません)。保有データは /haiko と同じで、毎営業日自動で更新されます。

ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていく。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線だ。

1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか

項目2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期今期予想
売上高3兆9,518億円4兆593億円4兆3,371億円4兆566億円4兆5,000億円
純利益177億円4,419億円4,204億円3,801億円3,100億円
営業キャッシュフロー1,280億円1兆1,549億円5,753億円6,524億円—

2023年3月期は、燃料の値段の高騰を電気料金に転嫁しきれず、純利益が177億円まで落ちた。その後、料金の見直しと原発の再稼働で大きく回復し、ここ3年は純利益3,800億円以上が続いている。

支えになっているのは原子力発電だ。燃料のウランは安く、一度動けば発電のコストが火力よりずっと低い。会社は美浜・高浜・大飯の原発7基を動かす体制をとっている。今期は原発の定期検査が重なることなどで、純利益は3,100億円に減る予想だ。

ブルブル
原発が動いてる限り、安い電気で稼げる。今の関西電力の強みはそこだぜ!

2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?

業績の下方修正、減配の示唆、大型の減損といった配当に響く悪材料はなかった。ただ、原発のトラブルが続いている。

美浜3号機は、5月にタービンの蒸気漏れで手動停止し、定期検査を経て9月12日に起動したが、9月に2次系(放射性物質を含まない側)の配管からの水漏れが見つかり、再び止めた。10月10日に原子炉を起動し、11月4日に営業運転を再開する予定だ(当初の予定から延期)。止まっている間は火力発電などで補うため費用が増えるが、7基のうちの1基で、配当を左右するほどではない。

3. 金利の影響 ― 借入は大きいが、ゆっくり効く

発電所や送電網に大きな投資が要るので、2026年6月末の有利子負債は約3兆6,300億円ある。日銀の利上げは、借り換えのたびに利息の負担を増やす。ただ電力会社は長期の固定金利で借りることが多く、利上げの影響は数年かけてゆっくり表れる。

営業キャッシュフローは年6,500億円規模あり、配当は約670億円だ。金利の上昇だけで配当が減ることは考えにくい。

4. 為替の影響 ― 円安は利益を削るが、料金で取り戻す

火力発電の燃料(LNG・石炭・原油)を輸入するので、円安は費用を増やし、円高は減らす。会社の感応度では、1円の円安で経常利益が年約29億円減る。

ただ電力会社には「燃料費調整制度」があり、燃料の値段や為替の変動は数か月遅れで電気料金に反映される。円安で一時的に利益が減っても、あとで料金で取り戻せる。第1四半期の営業利益が84%減ったのも、前の年にあった時期のずれによる利益がなくなったことが大きい。

5. 地政学の影響 ― 原発があるので比較的強い

電力会社にとって最大のリスクは、中東などの情勢で燃料の値段が急騰したり、調達が難しくなったりすることだ。関西電力は原発で多くの電気をつくっているので、火力に頼る他の電力会社より、燃料の高騰の影響を受けにくい。

その裏返しとして、利益は原発の稼働に大きく左右される。震災のあと国内の原発が一斉に止まったときは、高い燃料を緊急で買う必要があり、4年間無配になった。原発に関わる大きな事故や規制の強化は、今でも最大のリスクだ。

ベアベア
原発は強みでもあり、いちばんのリスクでもあるんだね。

6. 決算見通し ― 第1四半期は営業減益、純利益は売却益で増益

項目今期(2027年3月期)の会社予想第1四半期の実績(4〜6月)
売上高4兆5,000億円1兆79億円(+9.8%)
営業利益2,500億円204億円(−84.2%)
経常利益2,900億円528億円(−60.8%)
純利益3,100億円1,371億円(+38.2%)

営業利益が大きく減ったのは、前の年の燃料費調整の時期のずれによる利益がなくなったためだ。一方で純利益が増えたのは、関係会社の株を売った約1,050億円の売却益があったため。一時的な利益なので、配当を考えるときは割り引いて見る。次の第2四半期(中間期)の決算発表は2026年10月29日の予定だ。

7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事

配当方針2026年度から、財務の健全性を確保しつつ、連結配当性向25〜35%を目安に配当の維持または増配に努める
配当の推移2012年3月期 60円 → 2013〜2016年3月期 無配 → 2017年3月期 25円 → 2018年3月期 35円 → 2019〜2024年3月期 50円(据え置き)→ 2025年3月期 60円 → 2026年3月期 75円 → 今期予想 80円(中間40円・期末40円)
配当性向今期の予想は約29%(会社の開示で28.7%)
現金の流れ2026年3月期の営業キャッシュフローは約6,524億円、設備投資などを引いたフリーキャッシュフローは約805億円。配当の支払い(約669億円)をまかなえている。ただし投資が大きいので、フリーキャッシュフローは年によって小さくなる(2023年3月期は約−2,898億円)
財務の余力自己資本比率 36.3%・有利子負債 約3兆6,300億円・現金 約5,337億円(2026年6月末)
ベアベア
「維持または増配」って言っても、また原発が止まったら無配になっちゃうんじゃないかな…。
株人株人
その可能性はゼロではない。震災のときは全国の原発が一斉に止まるという、会社の努力ではどうにもならない事態だった。今は安全対策を終えた7基が動いていて、配当性向は約3割と低く、利益が半分になっても配当は払える計算だ。ただ、原発に関わる大きな出来事があれば、真っ先に見直す銘柄だと考えて持つ。
ブルブル
減益予想の年に増配を決めたのは、会社の本気の表れだぜ!

株人の判断:ホールドで安心か

安心してホールド(継続)
  1. 配当の方針が強くなった。2026年度から「配当の維持または増配」を掲げ、減益予想の今期も80円に増配
  2. 配当性向に余裕がある。今期の予想は約29%。利益が大きく落ちても配当を払える余地がある
  3. 原発が稼ぎを支える。7基の体制で、燃料の高騰に比較的強い。フリーキャッシュフローで配当をまかなえている

正直に書いておくと、関西電力は2013〜2016年3月期に4年間無配だった。利益は原発の稼働に大きく左右され、美浜3号機は今年2回止まった。原発に関わる大きな事故や規制の変化があれば、配当は大きく揺らぎうる。減配の心配はしていないが、50銘柄の中で「原発」という一つのリスクに強く依存する銘柄として、原発の稼働状況は毎回確かめる。

次の点検で見ること
  • 2026年10月29日の中間決算:中間配当40円の決議と年80円の予想。純利益が通期3,100億円に向けて進んでいるか
  • 美浜3号機が11月4日に予定どおり営業運転を再開するか、他の原発の稼働状況
  • 燃料費調整の時期のずれと、利上げの影響

よくある質問

関西電力は減配の心配はありますか?
2026年10月時点では、減配の材料は見当たりません。2026年度から配当性向25〜35%を目安に配当の維持または増配に努める方針で、今期は年80円(前期75円)の予想です。ただし原発が止まった2013〜2016年3月期には無配だった過去があり、利益は原発の稼働に大きく左右されます。将来を約束するものではありません。
関西電力の配当はいつ、いくらもらえますか?
今期(2027年3月期)の予想は年80円(中間40円・期末40円)です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
美浜3号機の停止は配当に影響しますか?
美浜3号機は2026年5月と9月に止まりましたが、10月10日に原子炉を起動し、11月4日に営業運転を再開する予定です。止まっている間は他の発電で補う費用がかかりますが、7基のうちの1基で、配当を左右する大きさではありません。
ベアベア
過去のことを知ったうえで持つのが大事なんだね。
株人株人
そういうことだ。今月の関西電力は安心してホールド。10月29日の中間決算と、美浜3号機の営業運転の再開をもう一度見る。

出典

  • 関西電力「2027年3月期 第1四半期決算短信」(2026-07-31)
  • 関西電力「2026年3月期 決算短信」・決算説明資料・株主還元方針(2026-04-30)
  • 共同通信・地方紙(2026-05 美浜3号機の蒸気漏れ、2026-09-17 水漏れでの手動停止、2026-10-10 原子炉の起動と11月4日の営業運転再開の予定)
  • IRBANK「関西電力(9503)の業績」 https://irbank.net/9503/results ・「財務」 https://irbank.net/9503/bs ・「配当」 https://irbank.net/9503/dividend

この記事は点検日(2026年10月16日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。

この点検について
毎月1回、配当目的で持っている銘柄に「配当を脅かすニュース」が出ていないかを確かめています。見るのは株価ではなく、配当が続くか・増えるか・減るか。
安心 配当は守られている
注意 気になる材料あり。次の決算を見る
要再考 減配のおそれ。保有を見直す
免責:当ページは運営者「株人(かぶと)」が保有銘柄を点検した記録であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。 点検日時点の情報にもとづきます。投資判断はご自身の責任で行ってください。