株人
ベア
ブル
ベア
株人- 今期の配当予想は年80円(前期75円から+5円)。2026年度から配当性向25〜35%を目安に配当の維持または増配に努める方針。今期の予想配当性向は約29%
- 原発の安定した稼働で、純利益は3年続けて3,800億円以上。今期は3,100億円に減る予想だが、配当(約670億円)の4倍以上ある。フリーキャッシュフローで配当をまかなえている
- 忘れてはいけないのは、原発が止まった2013〜2016年3月期に無配だったこと。今も利益は原発の稼働に大きく左右される。第1四半期の大きな営業減益は、燃料費の調整の時期のずれによるもの
ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていく。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線だ。
1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか
| 項目 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 今期予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3兆9,518億円 | 4兆593億円 | 4兆3,371億円 | 4兆566億円 | 4兆5,000億円 |
| 純利益 | 177億円 | 4,419億円 | 4,204億円 | 3,801億円 | 3,100億円 |
| 営業キャッシュフロー | 1,280億円 | 1兆1,549億円 | 5,753億円 | 6,524億円 | — |
2023年3月期は、燃料の値段の高騰を電気料金に転嫁しきれず、純利益が177億円まで落ちた。その後、料金の見直しと原発の再稼働で大きく回復し、ここ3年は純利益3,800億円以上が続いている。
支えになっているのは原子力発電だ。燃料のウランは安く、一度動けば発電のコストが火力よりずっと低い。会社は美浜・高浜・大飯の原発7基を動かす体制をとっている。今期は原発の定期検査が重なることなどで、純利益は3,100億円に減る予想だ。
ブル2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?
業績の下方修正、減配の示唆、大型の減損といった配当に響く悪材料はなかった。ただ、原発のトラブルが続いている。
美浜3号機は、5月にタービンの蒸気漏れで手動停止し、定期検査を経て9月12日に起動したが、9月に2次系(放射性物質を含まない側)の配管からの水漏れが見つかり、再び止めた。10月10日に原子炉を起動し、11月4日に営業運転を再開する予定だ(当初の予定から延期)。止まっている間は火力発電などで補うため費用が増えるが、7基のうちの1基で、配当を左右するほどではない。
3. 金利の影響 ― 借入は大きいが、ゆっくり効く
発電所や送電網に大きな投資が要るので、2026年6月末の有利子負債は約3兆6,300億円ある。日銀の利上げは、借り換えのたびに利息の負担を増やす。ただ電力会社は長期の固定金利で借りることが多く、利上げの影響は数年かけてゆっくり表れる。
営業キャッシュフローは年6,500億円規模あり、配当は約670億円だ。金利の上昇だけで配当が減ることは考えにくい。
4. 為替の影響 ― 円安は利益を削るが、料金で取り戻す
火力発電の燃料(LNG・石炭・原油)を輸入するので、円安は費用を増やし、円高は減らす。会社の感応度では、1円の円安で経常利益が年約29億円減る。
ただ電力会社には「燃料費調整制度」があり、燃料の値段や為替の変動は数か月遅れで電気料金に反映される。円安で一時的に利益が減っても、あとで料金で取り戻せる。第1四半期の営業利益が84%減ったのも、前の年にあった時期のずれによる利益がなくなったことが大きい。
5. 地政学の影響 ― 原発があるので比較的強い
電力会社にとって最大のリスクは、中東などの情勢で燃料の値段が急騰したり、調達が難しくなったりすることだ。関西電力は原発で多くの電気をつくっているので、火力に頼る他の電力会社より、燃料の高騰の影響を受けにくい。
その裏返しとして、利益は原発の稼働に大きく左右される。震災のあと国内の原発が一斉に止まったときは、高い燃料を緊急で買う必要があり、4年間無配になった。原発に関わる大きな事故や規制の強化は、今でも最大のリスクだ。
ベア6. 決算見通し ― 第1四半期は営業減益、純利益は売却益で増益
| 項目 | 今期(2027年3月期)の会社予想 | 第1四半期の実績(4〜6月) |
|---|---|---|
| 売上高 | 4兆5,000億円 | 1兆79億円(+9.8%) |
| 営業利益 | 2,500億円 | 204億円(−84.2%) |
| 経常利益 | 2,900億円 | 528億円(−60.8%) |
| 純利益 | 3,100億円 | 1,371億円(+38.2%) |
営業利益が大きく減ったのは、前の年の燃料費調整の時期のずれによる利益がなくなったためだ。一方で純利益が増えたのは、関係会社の株を売った約1,050億円の売却益があったため。一時的な利益なので、配当を考えるときは割り引いて見る。次の第2四半期(中間期)の決算発表は2026年10月29日の予定だ。
7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事
| 配当方針 | 2026年度から、財務の健全性を確保しつつ、連結配当性向25〜35%を目安に配当の維持または増配に努める |
|---|---|
| 配当の推移 | 2012年3月期 60円 → 2013〜2016年3月期 無配 → 2017年3月期 25円 → 2018年3月期 35円 → 2019〜2024年3月期 50円(据え置き)→ 2025年3月期 60円 → 2026年3月期 75円 → 今期予想 80円(中間40円・期末40円) |
| 配当性向 | 今期の予想は約29%(会社の開示で28.7%) |
| 現金の流れ | 2026年3月期の営業キャッシュフローは約6,524億円、設備投資などを引いたフリーキャッシュフローは約805億円。配当の支払い(約669億円)をまかなえている。ただし投資が大きいので、フリーキャッシュフローは年によって小さくなる(2023年3月期は約−2,898億円) |
| 財務の余力 | 自己資本比率 36.3%・有利子負債 約3兆6,300億円・現金 約5,337億円(2026年6月末) |
ベア
株人
ブル株人の判断:ホールドで安心か
- 配当の方針が強くなった。2026年度から「配当の維持または増配」を掲げ、減益予想の今期も80円に増配
- 配当性向に余裕がある。今期の予想は約29%。利益が大きく落ちても配当を払える余地がある
- 原発が稼ぎを支える。7基の体制で、燃料の高騰に比較的強い。フリーキャッシュフローで配当をまかなえている
正直に書いておくと、関西電力は2013〜2016年3月期に4年間無配だった。利益は原発の稼働に大きく左右され、美浜3号機は今年2回止まった。原発に関わる大きな事故や規制の変化があれば、配当は大きく揺らぎうる。減配の心配はしていないが、50銘柄の中で「原発」という一つのリスクに強く依存する銘柄として、原発の稼働状況は毎回確かめる。
- 2026年10月29日の中間決算:中間配当40円の決議と年80円の予想。純利益が通期3,100億円に向けて進んでいるか
- 美浜3号機が11月4日に予定どおり営業運転を再開するか、他の原発の稼働状況
- 燃料費調整の時期のずれと、利上げの影響
よくある質問
- 関西電力は減配の心配はありますか?
- 2026年10月時点では、減配の材料は見当たりません。2026年度から配当性向25〜35%を目安に配当の維持または増配に努める方針で、今期は年80円(前期75円)の予想です。ただし原発が止まった2013〜2016年3月期には無配だった過去があり、利益は原発の稼働に大きく左右されます。将来を約束するものではありません。
- 関西電力の配当はいつ、いくらもらえますか?
- 今期(2027年3月期)の予想は年80円(中間40円・期末40円)です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
- 美浜3号機の停止は配当に影響しますか?
- 美浜3号機は2026年5月と9月に止まりましたが、10月10日に原子炉を起動し、11月4日に営業運転を再開する予定です。止まっている間は他の発電で補う費用がかかりますが、7基のうちの1基で、配当を左右する大きさではありません。
ベア
株人出典
- 関西電力「2027年3月期 第1四半期決算短信」(2026-07-31)
- 関西電力「2026年3月期 決算短信」・決算説明資料・株主還元方針(2026-04-30)
- 共同通信・地方紙(2026-05 美浜3号機の蒸気漏れ、2026-09-17 水漏れでの手動停止、2026-10-10 原子炉の起動と11月4日の営業運転再開の予定)
- IRBANK「関西電力(9503)の業績」 https://irbank.net/9503/results ・「財務」 https://irbank.net/9503/bs ・「配当」 https://irbank.net/9503/dividend
この記事は点検日(2026年10月16日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。