保有銘柄の月次点検(配当目線)

【2026年10月点検】BTI(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)はホールドで大丈夫?配当目線で累進配当・配当性向72%・ポンドと円をチェック

点検日 2026/10/17(土)   株人(かぶと)
株人株人
今月の点検、今日はブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)だ。ラッキーストライクやケントの、英国のたばこ会社だ。私は NISA で、米国に上場しているBTI(ADR=米国預託証券)を持っている。見るのはいつもどおり「この配当、これからも続くのか」だけだ。
ブルブル
株人さん、BAT は配当をポンド建てで毎年増やすって約束してるぜ! 今年も245.04ペンスに増配だ!
ベアベア
でも増配は2%だけだし、借金が350億ポンドもあるんだよ。それに去年は、自由に使える現金より配当のほうが多かったって…。
ブルブル
それはカナダの和解金を一度に払ったからだぜ。それに3月には格付けも上がったんだ!
株人株人
米国株は為替が2回かかるから、円で受け取る額の話もしておこう。結論は先に書いておく。
判定:注意しながらホールド 2026年10月の点検
  • 配当はポンド建てで毎年増やす方針(長期的に続く利益の65%が目安)。2025年分は245.04ペンス(前年240.24ペンスから+2.0%)を4回に分けて払う。2026年の業績見通しも9月に据え置いた
  • 気になるのは、配当が今の利益の約72%と目安の65%を上回っていることと、2025年は自由に使える現金が配当の支払いに届かなかったこと(カナダの和解金の一時的な支払いを除けば届いている)。借入は約350億ポンドと大きい
  • 日本で受け取る円の配当は、ポンド→ドル→円の2回の為替で上下する。英国と米国の源泉税はかからず、NISA なら日本の税もかからない
保有株数
1株
取得単価
55.82ドル
年間配当(直近1年・円換算)
528円
取得額に対する利回り
6.00%
参考:評価額 8,794円・含み損益 −11円(判定には使っていません)。米国株は楽天証券の残高(2026/10/13時点)の値で、毎日の自動更新はしていません。年間配当は直近1年の実績を円に換算したものです。

ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていく。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線だ。

1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか

項目2025年(通期)2026年上期(1〜6月)
売上高256.1億ポンド(−1.0%・為替の影響を除くと+2.1%)122.4億ポンド(+1.4%・同+2.9%)
うち新しいカテゴリー(電子たばこ・口に含むニコチン製品など)36.2億ポンド(+5.5%)19.3億ポンド(+16.8%)
調整後の1株利益(希薄化後)352.1ペンス(+0.7%)為替の影響を除いて+5.9%
営業活動による現金63.4億ポンド34.0億ポンド

稼ぎの中心は今も紙巻きたばこだ。先進国では吸う人が減り、本数は毎年少しずつ減っている。それを値上げで補って、売上と利益を保つ形だ。2026年上期は米国の売上が+8.5%と伸び、紙巻きたばこの売上も為替の影響を除いて+2.1%だった。

伸びているのは「Velo」などの口に含むニコチン製品で、上期の売上は+65.9%。煙の出ない製品(加熱式たばこを含む)は売上の19.8%まで増えた。数量が減る紙巻きたばこの稼ぎを、次の柱が少しずつ補い始めている。

ブルブル
紙巻きが減っても、値上げと新しい製品でちゃんと稼いでるぜ!

2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?

9月中旬から10月17日までを確かめたが、業績見通しの引き下げ、減配や配当方針の変更の示唆、大型の減損といった目立った悪材料はなかった。

9月29日には、米国ノースカロライナ州で投資家向けの説明会(Capital Markets Day)を開いた。2026年の見通しは据え置きで、売上(+3〜5%)と調整後の営業利益(+4〜6%)は範囲の下のほう、調整後の1株利益(+5〜8%)は範囲の真ん中あたりになるとした(いずれも為替の影響を除く)。一方で、今の為替が続くと、ポンドに直したときの1株利益は2〜2.5%ほど目減りするとも説明した。

3. 金利の影響 ― 借入が大きいので無視はできない

BAT は過去の大型買収(米国のレイノルズ・アメリカン)で借入が大きく、2026年6月末で約351億ポンドある。金利が高い時期に借り換えると、利息の支払いが増えて配当の原資を削る。

ただ、会社は借入を減らすことを優先していて、借入の大きさを示す倍率(調整後の純有利子負債÷調整後 EBITDA)を2026年末までに2.0〜2.5倍に収める見通しだ。2025年末は2.48倍だった。格付けも、Fitch が2026年3月に「A-」(見通しは安定的)に引き上げた。金利で配当がすぐ減ることは考えにくいが、借入が減っているかは毎回見る。

4. 為替の影響 ― 2回かかる

米国株の BTI は、日本の保有者にとって為替が2回かかる。

  1. ポンド→ドル:BAT は配当をポンドで決める。ADR の持ち主には、預託銀行(Citibank)が支払日のレートでドルに換えて払う。ポンド高・ドル安ならドルの配当は増え、ポンド安・ドル高なら減る。実際、BTI の1回あたりの配当は2025年11月払いの0.739ドルから2026年11月払いの0.825ドルまで、為替で動いている(ポンドではずっと同じ額)
  2. ドル→円:ドルで受け取った配当を円で見ると、円安なら増え、円高なら減る

会社の利益そのものも、米国の稼ぎが大きいので、ドル安・ポンド高になるとポンドに直した利益が目減りする。会社は2026年の1株利益で2〜2.5%の目減りを見込んでいる。

税金は有利だ。英国は配当に源泉税をかけず、BTI は英国の会社の ADR なので米国の源泉税もかからない。NISA なら日本の税もかからない。差し引かれるのは ADR の手数料(1回0.01ドル)だけだ。

ベアベア
円高になったら、受け取る円は減っちゃうんだよね?
株人株人
そうだ。ただそれは為替で受取額が動いただけで、会社が配当を減らしたわけではない。私が見るのは、ポンド建ての配当が増え続けているかだ。円の受取額の上下は、米国株を持つ以上は受け止める。

5. 地政学・規制の影響 ― たばこならではのリスク

たばこは、どの国でも規制と増税の対象だ。米国では、電子たばこやニコチン製品の販売に FDA(米国食品医薬品局)の許可が要る。許可の出方は、伸びている新しい製品の利益を左右する。オーストラリアやバングラデシュなどでは、税金を払わない違法なたばこが広がって、正規の売上が減っている。

カナダでは、健康被害をめぐる長年の訴訟が2025年に和解で決着した。カナダの3社で総額325億カナダドル。BAT のカナダ子会社は2025年に手元の現金などから約26億ポンドを払い、残りはカナダでの利益(税引後の85%から段階的に下がる)から何年もかけて払う。長く続いた不安が片づいた一方で、カナダの稼ぎはしばらく和解金に回る。

どれも「すぐに配当が消える」話ではないが、たばこの会社を持つ限り、規制と訴訟のリスクは消えない。

6. 決算見通し ― 2026年は見通しどおり

項目2026年の会社の見通し(為替の影響を除く)
売上高+3〜5% の下のほう
調整後の営業利益+4〜6% の下のほう
調整後の1株利益(希薄化後)+5〜8% の真ん中あたり
借入の倍率年末に2.0〜2.5倍
株主還元ポンド建ての増配と、13億ポンドの自社株買い

BAT は英国の会社なので、決算は年2回(上期と通期)だ。次は2026年の通期決算で、例年は2月中旬に出る。ここで次の1年に払う配当の額が決まるので、配当目的の保有者にとっていちばん大事な発表だ。

7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事

配当方針長期的に続く利益の65%をもとに、ポンド建てで毎年増やす(累進配当)
配当の推移(ポンド)2024年分 240.24ペンス(60.06ペンス×4回)→ 2025年分 245.04ペンス(61.26ペンス×4回・+2.0%)。2025年分は2026年5月・8月・11月・2027年2月に払う
BTI の配当(ドル)直近1年の4回で約3.28ドル(為替で毎回少し変わる)。次は2026年11月12日・2027年2月8日に支払い
配当性向245.04ペンス÷2025年の調整後の1株利益(カナダ分を除く)340.5ペンスで約72%。目安の65%を上回る
現金の流れ2025年の配当前のフリーキャッシュフローは約40.5億ポンドで、配当の支払い(約52.4億ポンド)に届かなかった。カナダの和解金(約25.6億ポンド)を除けば約66.1億ポンドで届いている。2026年上期も約22.9億ポンドで配当(約26.3億ポンド)に届いていないが、会社は現金の入りが下期に偏ると説明している
財務の余力借入 約351億ポンド(2026年6月末)・借入の倍率 2.48倍(2025年末)・格付け Fitch A-(2026年3月に引き上げ)・Moody's Baa1・S&P BBB+
株主還元配当に加えて、2026年は13億ポンドの自社株買い
ベアベア
配当が利益の7割を超えてて、しかも去年は現金が足りなかったんだね…。これって無理してない?
株人株人
そこは正直に受け止める。2025年の不足はカナダの和解金という一度きりの支払いのせいで、それを除けば現金は配当を上回っていた。それでも、配当性向が目安の65%を超えているのは事実だ。増配が2%と小さいのは、利益の伸びに配当を合わせようとしているからだと私は見ている。13億ポンドの自社株買いもしているので、苦しくなればまず自社株買いを減らす余地がある。
ブルブル
ポンドで減らさないって約束を、会社は毎年守ってるぜ!

株人の判断:ホールドで安心か

注意しながらホールド(継続)
  1. 配当を増やし続ける方針がある。ポンド建てで毎年増配し、2025年分も245.04ペンスに増やした。2026年の業績見通しも据え置き
  2. ただし余裕は小さい。配当は利益の約72%と目安の65%を超え、2025年はカナダの和解金で自由に使える現金が配当に届かなかった。借入は約351億ポンドと大きい
  3. 円の受取額は為替で動く。ポンド→ドル→円と2回換わるので、会社が増配しても円高なら受取額は減る。税は英国・米国・NISA とも0で、手取りは有利

たばこは吸う人が減っていく商売で、規制と訴訟のリスクも消えない。それでも BAT は値上げと新しい製品で稼ぎを保ち、ポンド建ての増配を続けている。私は売らずに持ち続けるが、配当性向と借入の減り方は毎回確かめる。同じたばこの JT(2914)も「注意しながらホールド」にしている。

次の点検で見ること
  • 2027年2月中旬の通期決算:2026年分の配当額(ポンド建てで増配が続くか、伸びは何%か)と、2027年の見通し
  • 2026年の配当前フリーキャッシュフローが配当の支払いを上回るか、借入の倍率が2.0〜2.5倍に入ったか
  • 米国の FDA の許可と、口に含むニコチン製品の伸び

よくある質問

BTI(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)は減配の心配はありますか?
2026年10月時点では、減配の材料は見当たりません。会社はポンド建てで毎年増配する方針で、2025年分は245.04ペンス(+2.0%)です。ただし配当は利益の約72%と目安の65%を上回り、2025年は自由に使える現金が配当の支払いに届きませんでした(カナダの和解金の一時的な支払いが理由)。将来を約束するものではありません。
BTI の配当はいつ、いくらもらえますか?
配当は年4回です。1回あたり61.26ペンスを、支払日のレートでドルに換えて払います。直近1年の4回の合計は約3.28ドルでした。次の支払いは2026年11月12日と2027年2月8日です(米国の ADR の日程)。ADR の手数料として1回0.01ドルが差し引かれます。
NISA で BTI を持つと税金はかかりますか?
英国は配当に源泉税をかけず、BTI は英国の会社の ADR なので米国の源泉税もかかりません。NISA の口座なら日本の税もかからないので、ADR の手数料を除いて配当をそのまま受け取れます。
ベアベア
ポンドの配当が増えてるかと、円での受取額は、分けて見ればいいんだね。
株人株人
そういうことだ。今月の BAT は注意しながらホールド。2月の通期決算で、増配が続くかと現金の流れをもう一度見る。

出典

  • BAT「Preliminary Results for the year ended 31 December 2025」(2026-02-12) https://www.bat.com/investors-and-reporting/results-centre
  • BAT「Half-Year Report for the six months to 30 June 2026」(2026-07-30)
  • BAT「BAT 2026 Capital Markets Day」(2026-09-29) https://www.bat.com/media/press-releases/_2026/september/bat-2026-capital-markets-day
  • BAT「Quarterly dividend payments」「Credit ratings」 https://www.bat.com/investors-and-reporting
  • BTI の配当履歴(ドル) https://stockanalysis.com/stocks/bti/dividend/

この記事は点検日(2026年10月17日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。

この点検について
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免責:当ページは運営者「株人(かぶと)」が保有銘柄を点検した記録であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。 点検日時点の情報にもとづきます。投資判断はご自身の責任で行ってください。