保有銘柄の月次点検(配当目線)

【2026年10月点検】大林組(1802)はホールドで大丈夫?配当目線でDOE5%・減益予想・現金の流れをチェック

点検日 2026/10/14(水)   建設業   株人(かぶと)
株人株人
今月の点検、今日は大林組だ。東京スカイツリーも手がけた、日本を代表するスーパーゼネコンの1社だ。国内のビルや土木工事に加えて、海外の建設と不動産も持っている。10月に買い付けた、高配当つみたて50銘柄の新しい仲間だ。見るのはいつもどおり「この配当、これからも続くのか」だけだ。
ベアベア
株人さん、今期は純利益が約1割減る予想なんだって。2年前は資材の値上がりで利益が大きく落ちたって聞いたし、建設会社って波が大きいんじゃないかな…。
ブルブル
でも前期は過去最高益だぜ! 配当も88円から94円に増やすし、4〜6月の純利益は2倍以上だ!
ベアベア
利益が減る年に増配って、本当に大丈夫なのかな…。
株人株人
そこが今月の論点だ。配当の決め方と、現金の流れを順番に見ていこう。結論は先に書いておく。
判定:安心してホールド 2026年10月の点検
  • 今期の配当予想は年94円(前期88円から+6円)。配当はDOE(自己資本に対する配当の割合)5%程度を目安に決めるので、1年の利益の上下で減りにくい
  • 前期は純利益1,737億円で過去最高。今期は1,570億円(−9.6%)に戻る予想だが、それでも過去の水準より高い。配当性向は約41%
  • 現金も厚い。直近5年のフリーキャッシュフローは合計約3,754億円で、配当の合計約2,049億円を上回る。手元の現金は有利子負債より多い
保有株数
1.0512株
取得単価
2,854円
年間配当(予想)
99円
取得単価に対する利回り
3.29%
参考:評価額 3,051円・含み損益 +51円(判定には使っていません)。保有データは /dividend と同じで、毎営業日自動で更新されます。

ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていく。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線だ。

1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか

項目2024年3月期2025年3月期2026年3月期今期予想
売上高2兆3,251億円2兆5,907億円2兆5,862億円2兆9,450億円
営業利益794億円1,425億円1,947億円1,800億円
純利益751億円1,454億円1,738億円1,570億円
営業キャッシュフロー504億円842億円2,529億円—

2024年3月期は、資材の値上がりで、昔に決まった値段で受けた工事の原価がふくらみ、営業利益は794億円まで落ちた。その後は、値上がり分を工事の価格に乗せる交渉や、もうけの出る工事を選んで受けることを徹底し、前期は営業利益1,947億円・純利益1,738億円と過去最高まで戻した。

稼ぎの中心は国内の建築と土木だ。売上の約3分の1は北米・アジアなどの海外だが、海外の工事は利益率が薄い。賃貸と開発物件の売却の不動産事業が、工事の利益の波をならしている。今期は前期の採算の良さが一巡して減益の予想だが、営業利益1,800億円は2年前の2倍以上の水準だ。

ブルブル
資材が高くなっても、値段に乗せられるようになった。一度痛い目を見た会社は強いぜ!

2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?

9月中旬から10月14日までを確かめたが、業績の下方修正、減配の示唆、不祥事、大型の減損といった目立った悪材料はなかった。

10月には、橋の工事で一部の工程の工期を約3割縮め、人手を減らせる新しい工法を発表した。建設業は人手不足と残業の上限規制で工期が延びやすく、それが採算を削る。人手を減らせる技術は、国内工事の利益を守る材料だ。9月にはバイオ医薬品の工場づくりの展示会にも出ている。

1か月より前の話だが、6月18日には豪州・英国・カナダで建築事業を行うMultiplex社を子会社化すると決めている。海外の稼ぎの場所を広げる一方で、海外の工事は利益率が薄いので、買収後に利益の質がどうなるかは見ておく。

3. 金利の影響 ― 小さい

2026年3月期末の有利子負債は約2,796億円に対し、手元の現金は約4,160億円ある。借入より現金が多い「実質無借金」の状態で、自己資本比率は40.0%だ。日銀の利上げで借入の利息が増えても、預けている現金の利息も増えるので、利益への影響は小さい。

注意するなら不動産だ。金利が上がると不動産の買い手が求める利回りが上がり、開発物件を売るときの利益が減りやすい。ただ、不動産は全社の売上の一部で、配当を左右するほどではない。

4. 為替の影響 ― どちらにも転ぶが小さい

海外の売上が約3分の1あるので、円高は海外の利益を円換算で目減りさせる。ただ海外の工事は利益率が薄いので、利益で見た影響は売上の大きさほどではない。会社は為替の感応度を公表していない。

建設会社にとってむしろ大きいのは、円安で資材やエネルギーが高くなることだ。2年前の落ち込みはまさにこれだった。今は値上がり分を価格に乗せる仕組みを整え、前期は過去最高益を出している。為替で配当が減ることは考えにくい。

5. 地政学の影響 ― 資材の値上がりに注意

海外の拠点は北米・豪州・英国・アジアなどが中心で、戦争や政変で現場が止まるような地域に大きな資産を持っているわけではない。

気をつけたいのは間接的な影響だ。中東の情勢が悪化して原油が上がると、セメントや鉄鋼のような、作るのにエネルギーをたくさん使う資材が高くなる。それが続くと、2年前のように国内工事の採算が削られる。ただ、配当は後で説明するDOEで決めるので、1年の利益が落ちても、それだけで減配にはなりにくい。

ベアベア
2年前に利益が落ちた年も、配当は減ってないんだね。少し安心したよ。

6. 決算見通し ― 第1四半期は大幅な増益

項目今期(2027年3月期)の会社予想第1四半期の実績(4〜6月)
売上高2兆9,450億円6,234億円(+19.0%)
営業利益1,800億円327億円(+107.0%)
経常利益1,830億円365億円(+98.2%)
純利益1,570億円391億円(+116.3%)

通期予想に対する進捗は、営業利益で約18%、純利益で約25%だ。前期も4〜6月は1年でいちばん利益が小さい時期(営業利益158億円)で、そこから大きく伸ばした。今期の4〜6月はその2倍以上で、国内建築の採算の良さが続き、不動産の売却も貢献した。8月の第1四半期の決算でも、通期予想は変えていない。次の第2四半期(中間期)の決算発表は2026年11月13日の予定だ。

7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事

配当方針普通配当は「長期安定配当の維持を第一に、DOE 5%程度を目安」(2024年3月期の期末から。それまでの3%程度から引き上げ)。DOEは前期末と当期末の自己資本の平均×5%で計算する。必要な自己資本を超える分は、特別配当や自社株買いでも還元する
配当の推移2023年3月期 42円 → 2024年3月期 75円 → 2025年3月期 81円 → 2026年3月期 88円 → 今期予想 94円(中間47円・期末47円)。4期連続の増配の予定。2019〜2022年3月期は32円で据え置き。IRBANK の2010年以降の記録に減配はない(最終赤字だった2010年3月期も8円を維持)
配当性向2026年3月期 35.3%。今期は予想の1株利益228.39円に対して約41%
現金の流れフリーキャッシュフローは年によって大きく揺れる(2024年3月期 −341億円 → 2025年3月期 +942億円 → 2026年3月期 +1,686億円)。直近5年の合計は約3,754億円で、同じ期間の配当の合計約2,049億円を上回る。2026年3月期は配当約578億円に加え、自社株買いに約581億円を使った
財務の余力自己資本比率 40.0%(2026年3月末)。現金 約4,160億円・有利子負債 約2,796億円
ベアベア
2年前はフリーキャッシュフローがマイナスだったんだね…。その年の配当はどうやって払ったの?
株人株人
手元の現金からだ。工事会社は、材料や下請けへの支払いが先で、代金は完成してから入るので、現金の出入りが年でずれる。だから1年ではなく5年で見る。5年で稼いだ自由な現金は配当の1.8倍ある。前期は配当と自社株買いを合わせて約1,160億円を返したが、それでも現金は借入より多い。
ブルブル
しかも配当は自己資本の5%が目安だろ? 黒字を続ければ自己資本は増えるから、配当も自然と増えていく仕組みだぜ!

株人の判断:ホールドで安心か

安心してホールド(継続)
  1. 配当の決め方が強い。DOE 5%程度が目安で、1年の利益の上下で配当が減りにくい。利益が落ちた2024年3月期も、配当は42円から75円に増えた
  2. 現金と財務が厚い。5年のフリーキャッシュフローは配当の1.8倍。現金が借入より多く、自己資本比率は40%
  3. 稼ぐ力が戻った。資材の値上がりを価格に乗せられるようになり、前期は過去最高益。今期は減益予想でも純利益1,570億円で、配当性向は約41%にとどまる

正直に書いておくと、建設会社の利益は資材の値段と人手に左右されやすく、2年前のように1年で大きく落ちることがある。現金の流れも年によってマイナスになる。海外の大型買収で、利益率の薄い海外工事の比重も上がる。減配の心配はしていないが、国内工事の採算が保てているかは毎回確かめる。

次の点検で見ること
  • 2026年11月13日の中間決算:中間配当47円の決議と年94円の予想。営業利益が通期1,800億円に向けて進んでいるか
  • 国内建築・土木の利益率と、資材の値上がりの影響
  • Multiplex 社の買収が利益と財務にどう効くか

よくある質問

大林組は減配の心配はありますか?
2026年10月時点では、減配の材料は見当たりません。配当はDOE 5%程度を目安に決める方針で、今期は年94円(前期88円)の予想です。IRBANK の2010年以降の記録に減配はありません。ただし建設会社の利益は資材の値段や人手に左右されやすい点には注意が必要です。将来を約束するものではありません。
大林組の配当はいつ、いくらもらえますか?
今期(2027年3月期)の予想は年94円(中間47円・期末47円)です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
今期は減益予想なのに、なぜ増配するのですか?
配当を利益ではなく自己資本に対する割合(DOE 5%程度)で決めているためです。前期の過去最高益で自己資本が増えたので、今期の純利益が少し減っても配当は増える計算になります。減益といっても純利益1,570億円は過去の水準より高く、配当性向は約41%です。
ブルブル
自己資本が増えれば配当も増える。黒字を続けるのがいちばんの増配ってわけだな!
株人株人
そういうことだ。今月の大林組は安心してホールド。11月13日の中間決算で、国内工事の採算と配当の予想をもう一度見る。

出典

  • 大林組「2027年3月期 第1四半期決算短信」(2026-08)
  • 大林組「2026年3月期 決算短信」(2026-05-13)・配当方針の変更(2024-03-04)・配当予想の修正(2026-02-09)
  • 大林組 ニュース(2026-06-18 Multiplex社の子会社化、2026-10 新工法の開発、2026-09-24 BioJapan 2026 出展) https://www.obayashi.co.jp/news/
  • IRBANK「大林組(1802)の業績」 https://irbank.net/1802/results ・「配当」 https://irbank.net/1802/dividend

この記事は点検日(2026年10月14日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。

この点検について
毎月1回、配当目的で持っている銘柄に「配当を脅かすニュース」が出ていないかを確かめています。見るのは株価ではなく、配当が続くか・増えるか・減るか。
安心 配当は守られている
注意 気になる材料あり。次の決算を見る
要再考 減配のおそれ。保有を見直す
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