保有銘柄の月次点検(配当目線)

【2026年10月点検】アステラス製薬(4503)はホールドで大丈夫?配当目線で毎年2円以上の増配・XTANDIの減少をチェック

点検日 2026/10/26(月)   医薬品   株人(かぶと)
株人株人
今月の点検、今日はアステラス製薬だ。前立腺がんの薬「XTANDI(イクスタンジ)」で世界に知られる製薬会社だ。10月に妻(配子)と1銘柄ずつ交換して、関西電力の代わりに高配当つみたて50銘柄に入れた。次の積立から買うので、まだ1株も持っていない。だからこそ、持つ前に「この配当、これからも続くのか」を確かめておく。
ベアベア
株人さん、アステラスって2年前と3年前、利益がほとんど出てなかったんだよね? 配当性向が700%を超えた年もあるって…。
ブルブル
それでも配当は一度も減らしてないぜ! 前期は純利益が約5.7倍に戻って、今期は80円に増配。会社は「毎年2円以上増やす」って約束してる!
ベアベア
でも、いちばん売れてるXTANDIは、今期から売上が減っていく予想なんでしょ。その穴、本当に埋まるのかな…。
株人株人
そこが今月の論点だ。主力の薬が入れ替わる途中の会社だ。配当の約束と、それを支える稼ぎを順番に見ていこう。結論は先に書いておく。
判定:◎ 安心してホールド 2026年10月の点検
  • 今期の配当予想は年80円(前期78円から+2円)。会社は経営計画で「毎年2円以上の増配」を約束し、2010年以降の記録に減配はない。今期が実現すれば15期連続の増配
  • 利益が落ち込んだ2024年3月期・2025年3月期も配当を増やした。前期は純利益2,915億円に戻り、配当性向は47.9%。営業キャッシュフロー5,602億円は配当の支払い(1,361億円)の4倍ある
  • 気になるのは主力のXTANDIの売上が今期から減る見通しであること。代わりの重点5製品は第1四半期に+43%と伸びていて、今のところ穴を埋めている
この銘柄はまだ買付前です(次の積立から買い始めます)。予想配当は1株あたり年80円です。保有データは /dividend と同じで、買ったら自動で表示されます。

ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていく。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線だ。

1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか

項目2024年3月期2025年3月期2026年3月期今期予想
売上収益1兆6,036億円1兆9,123億円2兆1,392億円2兆2,200億円
営業利益255億円410億円3,826億円3,950億円
純利益170億円507億円2,915億円3,000億円
営業キャッシュフロー1,725億円1,945億円5,602億円—

アステラスの稼ぎの中心は、前立腺がんの薬XTANDIだ。前期の売上は9,608億円で、会社の売上の4割を超える。この1本が、長く続いた増配を支えてきた。

2024年3月期と2025年3月期は、営業利益が数百億円まで落ちた。買収で手に入れた薬の開発がうまくいかず、その価値を帳簿から落とす費用(減損)などが重なったためだ。2025年3月期は、こうした「その他の費用」だけで2,358億円あった。前期はそれが落ち着き、純利益は2,915億円と大きく戻った。

そして今、XTANDIの次を担う重点戦略製品の5つが育っている。膀胱がんなどの薬PADCEV(パドセブ)、目の病気の薬IZERVAY、胃がんの薬VYLOY、更年期の症状の薬VEOZAH、白血病の薬XOSPATAだ。前期の5製品の売上は合わせて4,803億円(前の期の約1.4倍)になった。

ブルブル
PADCEVだけで前期2,212億円だぜ! 次の柱がもう立ち始めてる!

2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?

9月下旬から10月25日までを確かめたが、業績の下方修正、減配の示唆、不祥事、大型の減損といった目立った悪材料はなかった。

配当にとってはむしろ良い話が続いた。10月23日、重点製品の筆頭PADCEVが、手術できる段階の筋層浸潤性膀胱がんで、免疫の薬との併用について欧州で適応の追加の承認を取った。より早い段階の患者に使えるようになるので、次の稼ぎ頭の売上を押し上げる材料だ。

10月5日には、格付け会社の日本格付研究所(JCR)が長期の格付けAA+を据え置き、見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げた。お金を借りる力が保たれているという外からの評価だ。

少し前の9月1日には、米国政府と薬の値段についての合意を結んだ。低所得者向けの医療制度(メディケイド)向けの値段を下げ、これから出す薬は他の先進国の値段も踏まえて決める内容だ。利益には下向きに効く話だが、条件の多くは開示されておらず、会社は今期の予想を変えていない。

3. 金利の影響 ― 借入は減っていて、効きは小さい

アステラスは2024年3月期に大型の買収をして、有利子負債が9,200億円まで増えた。その後は本業の現金で返し、2026年3月期末は5,660億円、2026年6月末は約5,899億円だ。手元の現金は6月末で約2,447億円ある。

日銀の利上げが進めば利息は増えるが、営業キャッシュフローは年5,000億円を超える規模だ。自己資本比率も52.6%(2026年6月末)ある。金利だけで配当を減らすことになるとは考えにくい。

4. 為替の影響 ― 円安は追い風、円高は向かい風

売上の大半は米国と欧州だ。円安なら利益は増え、円高なら減る。会社の今期の前提は1ドル150円・1ユーロ180円だ。第1四半期の平均は1ドル159円・1ユーロ185円で、前提より円安だった。前の年の為替で計算した場合と比べて、売上は600億円、コア営業利益は255億円、為替で押し上げられた。

裏を返せば、今の追い風は円高になればはがれる。ただ、その為替の分を差し引いても、第1四半期の売上は約750億円、コア営業利益は約540億円、前年より増えている。「毎年2円以上」の増配は1年あたり約36億円の上乗せで、為替のぶれより小さい。為替だけで減配になることは考えにくい。

ベアベア
今の好調、円安のおかげも入ってるんだね。円高になったら数字は見劣りしそう…。

5. 地政学の影響 ― いちばん効くのは米国の薬の値段

アステラスにとって、戦争や物流より大きいのは米国の薬の値段の政策だ。米国は最大の市場で、高い薬の値段を下げさせる流れが続いている。9月の米国政府との合意もその流れの中にある。新しい薬の値段が抑えられれば、数年先の利益は削られる。

一方で、薬の原料を一国に頼るリスクには、会社も手を打ち始めている。米国政府との合意では、移植後の拒絶反応を防ぐ薬タクロリムスの原料を米国の備蓄に出すことも決めた。今の配当の原資がすぐに途切れる話ではないが、米国の政策は毎回見ていく。

6. 決算見通し ― 第1四半期は大きく伸びた

項目今期(2027年3月期)の会社予想第1四半期の実績(4〜6月)進捗
売上収益2兆2,200億円6,409億円(+26.7%)29%
コア営業利益6,200億円2,214億円(+55.6%)36%
純利益3,000億円1,418億円(+107.3%)47%

コア営業利益は、減損や買収した薬の償却などを除いた、本業の稼ぎを見る会社の物差しだ。第1四半期は、重点5製品が1,603億円(+43.2%)と大きく伸び、XTANDIも2,766億円(+18.7%)と増えた。会社は今期、XTANDIの売上を前期より5.3%少ない9,100億円、重点5製品を6,100億円と見込んでいる。XTANDIの落ち込みを、新しい薬の伸びで吸収する計画だ。

4〜6月はその計画より強く、純利益は通期予想の半分近くまで来た。ただ、前提より円安だった分も入っているので、会社は通期の予想を変えていない。次の第2四半期(中間期)の決算発表は2026年11月4日の予定だ。

7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事

配当方針連結の中長期的な利益成長にもとづき、配当を安定的かつ持続的に高める。2026年5月の「経営計画2026」(2026〜2030年度)で毎年2円以上の増配と、5年間で7,500億円以上の株主還元を掲げた。余ったお金があれば自社株買いも機動的に行う
配当の推移2022年3月期 50円 → 2023年3月期 60円 → 2024年3月期 70円 → 2025年3月期 74円 → 2026年3月期 78円 → 今期予想 80円(中間40円・期末40円)。2013年3月期から毎年増配で、今期が実現すれば15期連続。IRBANK の2010年以降の記録に減配はない(2014年4月に1株を5株に分割。分割を調整した値)
配当性向2024年3月期 736.4%・2025年3月期 274.8%(利益を大きく超えて配当した)→ 2026年3月期 47.9%。今期は予想の1株利益167.46円に対して約48%
現金の流れ2026年3月期の営業キャッシュフローは5,602億円、フリーキャッシュフローは4,935億円。配当の支払いは1,361億円で、フリーキャッシュフローの3分の1以下
財務の余力自己資本比率 52.6%・有利子負債 約5,899億円・現金 約2,447億円(2026年6月末)。有利子負債は2024年3月期末の9,200億円から減った。格付けは JCR で AA+(安定的)
ベアベア
利益の7倍も配当を出した年があるなんて…。それって、無理をしてたってことじゃないの?
株人株人
あの2年は、減損という「帳簿の上の費用」で利益が消えた年だ。現金はちゃんと入っていて、営業キャッシュフローは2年とも配当の支払いを上回っていた。それでも配当を減らさなかったことが、この会社の配当への本気度だと私は見ている。
ブルブル
しかも今は、利益が戻って配当性向は5割を切ってる。2円の増配なんて、1年で約36億円の上乗せだ。稼ぎに比べたらずっと小さいぜ!

株人の判断:ホールドで安心か

◎ 安心してホールド(買付前・次の積立から)
  1. 配当の約束がはっきりしている。「毎年2円以上の増配」を経営計画で数字にして約束し、5年間で7,500億円以上の株主還元を掲げた。2010年以降、減配はない
  2. 悪い年も配当を守った実績がある。減損で利益がほぼ消えた2年も増配を続けた。今は配当性向が約48%まで下がり、フリーキャッシュフローは配当の3倍以上ある
  3. 次の柱が育っている。重点5製品は第1四半期に+43%。XTANDIが減り始めても、今期の会社予想は増収・増益だ

正直に書いておくと、いちばんの心配はXTANDIだ。売上の4割を超える薬が、今期から減り始める。新しい薬がその減り方より速く育つかどうかが、これからの配当の土台を決める。円安の追い風と、米国の薬の値段の政策も重なる。今の配当が減る心配はしていないが、XTANDIの減り方と重点5製品の伸びは、毎回の決算で並べて見ていく。

次の点検で見ること
  • 2026年11月4日の中間決算:中間配当40円の決議と年80円の予想。通期の予想を上げるか、据え置くか
  • XTANDIの売上が会社の見込み(今期9,100億円)より速く減っていないか
  • 重点5製品の伸び(今期6,100億円の見込み)と、PADCEVの欧州での適応追加の効果

よくある質問

アステラス製薬は減配の心配はありますか?
2026年10月時点では、減配の材料は見当たりません。会社は経営計画で「毎年2円以上の増配」を掲げ、今期は年80円(前期78円)の予想です。2010年以降に減配はなく、利益が大きく落ちた2024年3月期・2025年3月期も増配しました。主力薬XTANDIの売上が今期から減る見通しなので、新しい薬の伸びがそれを補えるかは見ていく必要があります。将来を約束するものではありません。
アステラス製薬の配当はいつ、いくらもらえますか?
今期(2027年3月期)の予想は年80円(中間40円・期末40円)です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
XTANDIの売上が減ったら配当は減りますか?
会社は今期、XTANDIの売上を前期より5.3%少ない9,100億円と見込む一方、PADCEVなど重点5製品を6,100億円まで伸ばし、全体では増収・増益を予想しています。配当は「毎年2円以上の増配」を約束しており、配当性向は約48%と、利益から見て無理のない水準です。新しい薬がXTANDIの減少より速く育つかが、これからの点検のポイントです。
ベアベア
古い柱が細っていくぶん、新しい柱がどれだけ太くなるか。そこを毎回比べればいいんだね。
株人株人
そういうことだ。今月のアステラス製薬は◎ 安心してホールド。次の積立から買い始める。11月4日の中間決算で、XTANDIと新しい薬の数字をもう一度見る。

出典

  • アステラス製薬「2027年3月期 第1四半期決算短信」(2026-08-05)
  • アステラス製薬「2026年3月期 決算短信」(2026-04-27)・「経営計画2026」(2026-05-26)
  • アステラス製薬 ニュースリリース(2026-09-01 米国政府との合意、2026-10-23 PADCEV の欧州での適応追加の承認)
  • 日本格付研究所「アステラス製薬 据置・見通し変更」(2026-10-05)
  • IRBANK「アステラス製薬(4503)の業績」 https://irbank.net/4503/results ・「財務」 https://irbank.net/4503/bs ・「配当」 https://irbank.net/4503/dividend

この記事は点検日(2026年10月25日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。

この点検について
毎月1回、配当目的で持っている銘柄に「配当を脅かすニュース」が出ていないかを確かめています。見るのは株価ではなく、配当が続くか・増えるか・減るか。
◎ 安心 配当は守られ、増配も見込める
〇 大丈夫 配当は守れる見込み。気になる点を次の決算で見る
△ 様子見 配当が減るおそれ。買い増しはせず、代わりも探す
× 見直し 減配が決まった・ほぼ確実。売りも考える
免責:当ページは運営者「株人(かぶと)」が保有銘柄を点検した記録であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。 点検日時点の情報にもとづきます。投資判断はご自身の責任で行ってください。