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株人- 今期の配当予想は年160円(前期140円から+20円)。9月25日に普通配当を増やした。配当は利益の30〜40%を目安にし、普通配当はDOE(自己資本に対する配当の割合)4.0%を目安にする
- 買収で売上が伸び、営業利益は前期278億円・今期320億円の予想。配当性向は約26%と低い
- 気になるのは、前期の営業キャッシュフローがマイナスだったこと、買収で借入が増えたこと。利益には買収で生じた一時的な利益(負ののれん)も含まれる。2020年3月期には減配もしている
ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていく。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線だ。
1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 今期予想 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,427億円 | 5,478億円 | 6,589億円 | 7,600億円 |
| 営業利益 | 258億円 | 236億円 | 278億円 | 320億円 |
| 1株利益(分割後) | 387.29円 | 325.08円 | 627.70円 | 608.49円 |
| 営業キャッシュフロー | 294億円 | 250億円 | −25億円 | — |
前期は、電子部品商社の協栄産業を子会社にして、売上が2割増えた。売上の9割近くを稼ぐ電子部品の事業(EMSを含む)が利益を引っぱっている。
注意したいのは、前期の純利益(約311億円)には、協栄産業を純資産より安く買ったことで生じた一時的な利益(負ののれん、約78億円)が含まれることだ。これは現金が入ってくる利益ではない。ただ、本業の営業利益も前期比で約42億円増えており、稼ぐ力そのものは伸びている。
ブル2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?
9月中旬から10月15日までを確かめたが、業績の下方修正、減配の示唆、不祥事、大型の減損といった目立った悪材料はなかった。
好材料は、9月25日の上方修正と増配だ。5月から買い付けていた電子部品商社の新光商事の株を8月に72.45%取得して子会社にしたことなどを反映し、今期の経常利益の予想を300億円から320億円へ上げた。配当も中間・期末をそれぞれ70円から80円にし、年間160円とした。新光商事も純資産より安く買えたため、今期も負ののれん(約60億円の見込み)が出る。
3. 金利の影響 ― 借入が増えた分は効く
商社は、部品を仕入れてから代金を回収するまでの運転資金が大きく要る。前期は売上が急に増えたうえに買収もあり、有利子負債は2025年3月末の約304億円から2026年3月末の約804億円に増えた(6月末は約561億円)。日銀の利上げが進めば利息の負担は増える。
ただ、手元の現金は約836億円(2026年6月末)あり、借入を上回る。営業利益は年300億円規模で、利息が数億円増えても配当には響かない。
4. 為替の影響 ― 小さい
海外の組み立て工場の利益は円安でふくらみ、円高で目減りする。一方で輸入部品の仕入れは円安で高くなるが、商社として価格に乗せる仕組みがある。前期の為替の営業利益への影響はごくわずかだった。為替で配当が減ることは考えにくい。
5. 地政学の影響 ― 台湾と中国
半導体の供給は台湾・中国・米国に大きく頼っている。台湾周辺の有事や米中の対立が極端に強まれば、部品が届かなかったり、在庫の価値が下がったりして、利益が大きく落ちるおそれがある。
会社は中国だけに頼らないよう、東南アジア、メキシコ、インドなどに工場を広げている。地政学は「起きたら大きい」リスクだが、今のところ配当の原資を削る動きはない。
ベア6. 決算見通し ― 第1四半期は大幅な増益
| 項目 | 今期(2027年3月期)の会社予想 | 第1四半期の実績(4〜6月) |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,600億円 | 1,705億円(+23.4%) |
| 営業利益 | 320億円 | 85億円(+30.5%) |
| 経常利益 | 320億円 | 89億円(+42.0%) |
| 純利益 | 290億円 | 69億円(+49.0%) |
営業利益の進捗は約26%で順調だ。新光商事は8月から加わるので、その分と負ののれんは第2四半期以降に乗ってくる。次の第2四半期(中間期)の決算発表は2026年11月10日の予定だ。
7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事
| 配当方針 | 中期経営計画2027で、連結配当性向30〜40%に引き上げ、利益の成長に合わせて増配する。普通配当はDOE 4.0%を安定的・継続的な配当の目安にする。利益や資本効率に応じて特別配当や自社株買いも行う |
|---|---|
| 配当の推移 | 分割後で、2019年3月期 40円 → 2020年3月期 35円(減配) → 2021年3月期 40円 → 2022年3月期 60円 → 2023年3月期 110円 → 2024年3月期 110円 → 2025年3月期 110円 → 2026年3月期 140円(特別配当15円を含む)→ 今期予想 160円(中間80円・期末80円) |
| 配当性向 | 2026年3月期 22.3%。今期は予想の1株利益608.49円に対して約26%(負ののれんを含む利益に対して) |
| 現金の流れ | 2026年3月期は営業キャッシュフローが約−25億円、フリーキャッシュフローが約−59億円。売上の急増で売掛金と在庫が膨らんだため。配当の支払いは約58億円で、手元の現金(約836億円)で十分に払える |
| 財務の余力 | 自己資本比率 51.1%・有利子負債 約561億円・現金 約836億円(2026年6月末) |
ベア
株人
ブル株人の判断:ホールドで安心か
- 配当の目安が2つある。配当性向30〜40%と、普通配当のDOE 4.0%。一時的な利益を除いても、配当性向は目安の範囲に収まる
- 本業が伸びている。買収で規模が大きくなり、営業利益は今期320億円の予想。第1四半期も+30%
- 財務に余裕がある。自己資本比率は51%、手元の現金は借入を上回る
正直に書いておくと、前期は売上の急増で営業キャッシュフローがマイナスになり、買収で借入も増えた。利益には現金を伴わない一時的な利益が含まれ、2020年3月期には減配もしている。半導体の景気と地政学で利益が揺れやすい業種でもある。減配の心配はしていないが、現金の流れがプラスに戻るかは毎回確かめる。
- 2026年11月10日の中間決算:中間配当80円の決議と年160円の予想。営業利益の進み具合
- 営業キャッシュフローがプラスに戻ったか(売掛金の回収)
- 新光商事の統合の進み具合と、借入の動き
よくある質問
- 加賀電子は減配の心配はありますか?
- 2026年10月時点では、減配の材料は見当たりません。9月25日に配当予想を年160円(前期140円)に増やし、普通配当はDOE 4.0%を目安にする方針です。ただし2020年3月期には前年より配当が減ったことがあり、前期の営業キャッシュフローはマイナスでした。将来を約束するものではありません。
- 加賀電子の配当はいつ、いくらもらえますか?
- 今期(2027年3月期)の予想は年160円(中間80円・期末80円)です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
- 負ののれんとは何ですか?配当に関係しますか?
- 買収した会社を、その会社の純資産より安く買えたときに出る会計上の利益で、現金は入ってきません。加賀電子は前期(協栄産業)と今期(新光商事)にこの利益が出ます。一時的な利益なので、配当を見るときはこれを除いた本業の利益で考えるのが安全です。
ベア
株人出典
- 加賀電子「2027年3月期 第1四半期決算短信」(2026-08)・業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ(2026-09-25)
- 加賀電子「2026年3月期 決算短信」・中期経営計画2027(株主還元方針)
- 加賀電子 新光商事株式に対する公開買付けの結果及び子会社の異動に関するお知らせ(2026-08)
- IRBANK「加賀電子(8154)の業績」 https://irbank.net/8154/results ・「財務」 https://irbank.net/8154/bs ・「配当」 https://irbank.net/8154/dividend
この記事は点検日(2026年10月15日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。