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株人- 今期の配当予想は年96円(前期86円から+10円)。中期経営計画で累進配当(減配せず、維持か増配)と配当性向40%以上を掲げる
- 第1四半期の純利益は8,094億円(+48.2%)で、今期の目標2兆7,000億円の約30%。日銀の利上げで国内の利ざやが広がっている
- 気になるのは、自己資本の質を示すCET1比率が2026年3月末で9.2%と、会社の目標範囲(9.5〜10.5%)を下回ったこと。今期中に戻すとしている
ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていく。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線だ。
1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|
| 経常収益 | 11兆8,903億円 | 13兆6,299億円 | 14兆6,208億円 |
| 経常利益 | 2兆1,279億円 | 2兆6,694億円 | 3兆4,101億円 |
| 純利益 | 1兆4,907億円 | 1兆8,629億円 | 2兆4,272億円 |
| ROE | 7.61% | 9.08% | 10.9% |
純利益は3期続けて過去最高を更新し、2026年3月期は前期比+30.3%の2兆4,272億円だった。株主のお金でどれだけ稼いだかを示すROEも、10%を超えた。
稼ぎの柱は3つある。国内外での貸出と、金利の上昇で広がった利ざや。持分法で利益を取り込んでいる米国のモルガン・スタンレーの好業績。そして、タイやインドネシアなどアジアの銀行だ。
ブル2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?
9月中旬から10月12日までを確かめたが、業績の下方修正、不祥事、行政処分といった目立った悪材料はなかった。9月24日には、デジタル銀行を担う子会社が銀行の免許を取り「三菱UFJエムット銀行」に社名を変えた。10月1日には、カスタマーハラスメントへの対応方針を改めている。
3. 金利の影響 ― 国内の利上げは、いちばんの追い風
銀行にとって金利は、利益を左右する最大の要因だ。MUFGは、金利がほとんど付かない普通預金を国内で大量に預かっている。日銀が利上げをすると、預金の金利はゆっくりしか上がらないのに、企業への貸出や住宅ローンの金利はすぐに上がる。この差が利ざやを広げ、利益を押し上げる。配当性向40%の方針なので、利益が増えればそのまま配当も増える。
米国が利下げに向かえば、米国での貸出の利ざやは縮む。ただ、金利が下がると企業の資金調達や株式市場が活発になり、モルガン・スタンレーの手数料収入が増えやすい。日米どちらに金利が動いても、全体の利益が大きく崩れにくい作りだ。
4. 為替の影響 ― 円高は海外の利益を目減りさせる
米国やアジアで大きな利益を出しているので、円安は利益を押し上げ、円高は押し下げる。前期の過去最高益には、円安も効いていた。円高に振れれば、利益の伸びは鈍る。ただ、累進配当を掲げているので、為替で1年の利益が目減りしただけで配当を下げることは考えにくい。
5. 地政学の影響 ― 貸倒れの費用が増えている
銀行にとっての地政学のリスクは、景気の悪化で取引先が倒れ、貸したお金が返ってこなくなることだ。米国の関税政策の急な変化や米中の対立、中国経済の停滞がアジアに広がれば、貸倒れに備える費用が増える。
実際に、2026年3月期の与信関係費用(貸倒れに備える費用)は3,558億円で、前期より2,471億円増えた。利益が伸びる裏で、こうした費用も大きくなっている。それでも、この費用を吸収したうえで2兆4,272億円の純利益が残った。費用が倍になっても、配当の約1.1兆円を払えなくなる規模ではない。
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株人6. 決算見通し ― 第1四半期で目標の約30%
| 項目 | 今期(2027年3月期)の会社の目標 | 第1四半期の実績(4〜6月) |
|---|---|---|
| 経常利益 | — | 1兆1,179億円(+57.8%) |
| 純利益 | 2兆7,000億円(据え置き) | 8,094億円(+48.2%) |
| 1株配当 | 96円(中間48円・期末48円) | — |
第1四半期の純利益は、目標の約30%に達した。ふつうの目安の25%を上回るペースで、企業向けの国際部門や、法人・富裕層向けの部門が好調だった。次の第2四半期(中間期)の決算発表は2026年11月13日の予定だ。
7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事
| 配当方針 | 中期経営計画(2026年3月期〜2028年3月期)で、利益の成長に合わせて増配する累進配当と、配当性向40%以上を掲げる。今期の上期には上限1,000億円の自社株買いも予定 |
|---|---|
| 配当の推移 | 2024年3月期 41円 → 2025年3月期 64円 → 2026年3月期 86円 → 今期予想 96円(中間48円・期末48円)。2022年3月期から5期連続の増配で、今期で6期連続の予想 |
| 減配の歴史 | IRBANK の2010年以降の記録には減配はない。それより前、リーマン・ショックのころには減配したことがある |
| 配当性向 | 2024年3月期 32.9% → 2025年3月期 40.0% → 2026年3月期 40.3%。今期は目標の純利益に対して約40% |
| 自己資本(CET1比率) | 会社の目標範囲は9.5〜10.5%。2026年3月末は、株の含み益を除くと9.2%で下限を下回った(含み益を含めると10.8%)。会社は今期中に目標範囲へ戻すとしている |
| 政策保有株 | 3年で7,000億円を売り、純資産に対する割合を20%未満にする目標。2026年3月末で18.0%と、前倒しで達成しつつある |
銀行は、預金の受け入れや貸出がキャッシュフローに入るので、ふつうの会社のようにフリーキャッシュフローで配当の余裕は測れない。見るべきは、利益の大きさと、自己資本の質(CET1比率)だ。
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ブル株人の判断:ホールドで安心か
- 累進配当を約束している。中期計画で減配しない方針と配当性向40%以上を掲げ、今期は+10円の96円の予想
- 稼ぎが過去最高で、今期も好調。前期は2兆4,272億円、第1四半期で今期目標の約30%。国内の利上げが利ざやを広げている
- 利益の厚みが大きい。与信関係費用が3,558億円に増えても、配当の約1.1兆円を大きく上回る利益が残る
正直に書いておくと、銀行株には景気が悪くなったときに貸倒れの費用が一気に増えるリスクがあり、MUFGもリーマン・ショックのころに減配したことがある。前期は与信関係費用が大きく増え、CET1比率も目標を下回った。今は利益の厚みと累進配当の約束から「安心」にしたが、CET1比率が戻らなかったり、与信関係費用がさらに膨らんだりしたら判定を見直す。
- 2026年11月13日の中間決算:純利益が目標2兆7,000億円の半分(1兆3,500億円)を超えたか。年96円の配当予想が変わらないか
- CET1比率(含み益を除く)が9.5〜10.5%の目標範囲に戻ってきたか
- 与信関係費用が前の年より増えていないか
よくある質問
- 三菱UFJは減配の心配はありますか?
- 2026年10月時点では、減配の材料は見当たりません。中期経営計画で累進配当(減配しない方針)を掲げ、今期は年96円(前期86円)の予想です。第1四半期の純利益は目標の約30%と好調です。ただし銀行は景気の悪化で貸倒れの費用が増えやすく、リーマン・ショックのころには減配した歴史があります。将来を約束するものではありません。
- 三菱UFJの配当はいつ、いくらもらえますか?
- 今期(2027年3月期)の予想は年96円(中間48円・期末48円)です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。
- 日銀の利上げは三菱UFJの配当にプラスですか?
- プラスです。銀行は、金利の低い普通預金で集めたお金を、利上げですぐに金利が上がる貸出に回すので、利ざやが広がって利益が増えます。配当性向40%以上の方針なので、利益が増えれば配当も増えやすくなります。
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株人出典
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ「2027年3月期 第1四半期決算短信」・決算説明資料(2026-08-03)
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ「2026年3月期 決算短信」・中期経営計画・株主還元方針
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ ニュースリリース(2026-09-24 子会社の銀行免許取得と商号変更、2026-10-01 カスタマーハラスメント対応ポリシーの改定)
- IRBANK「三菱UFJ(8306)の業績」 https://irbank.net/8306/results ・「配当」 https://irbank.net/8306/dividend
この記事は点検日(2026年10月12日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。