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株人- 今期の配当予想は分割後で年52.8円(前期49.2円から+3.6円)。中期経営計画で配当性向40%水準と前年度の配当を下限にすると約束している
- 物流が弱くても、製鉄所や化学プラントの保守(機工)が利益を支える。第1四半期は営業利益+6%、政策保有株の売却益もあり純利益+41%
- 気になるのは、下限の約束が今期で終わる中期経営計画のものであること、2020年3月期に小幅な減配があること。借入も増えてきた
ここからは、点検した7つの項目を順番に書いていく。全部「配当が続くか・増えるか・減るか」の目線だ。
1. 今の会社の状況 ― 配当の原資は稼げているか
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 今期予想 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,635億円 | 6,068億円 | 6,316億円 | 6,385億円 |
| 営業利益 | 352億円 | 439億円 | 432億円 | 470億円 |
| 純利益 | 244億円 | 307億円 | 315億円 | 330億円 |
| 営業キャッシュフロー | 217億円 | 435億円 | 520億円 | — |
山九の強みは、物流と機工の組み合わせだ。工場への原材料の搬入、製造設備の据え付けと保守、完成品の出荷までを一手に引き受けるので、顧客は他社に切り替えにくい。景気が悪くて新しい設備投資が止まっても、今ある設備を安全に動かすための保守は欠かせないので、機工の稼ぎは底堅い。
前期は純利益315億円で過去最高。営業キャッシュフローは520億円と大きく伸びた。
ブル2. 直近1か月のニュース ― 配当に響く悪材料は?
9月中旬から10月15日までを確かめたが、業績の下方修正、減配の示唆、不祥事、大型の減損といった目立った悪材料はなかった。
10月1日に1株を5株に分割した。この記事の配当の数字は、すべて分割後に直してある。ほかに、運送の子会社どうしの合併や、山九重機工の完全子会社化など、グループの整理を進めている。どちらも効率を上げるためのもので、配当を左右する大きさではない。
3. 金利の影響 ― 小さい
2026年6月末の有利子負債は約1,062億円で、1年前(約812億円)から増えた。季節的な資金のための短期の借入や、長期の借入が増えたためだ。日銀の利上げで利息の負担は増える。
ただ、自己資本比率は53.6%(2026年6月末)と厚く、営業キャッシュフローは年500億円規模ある。持ち合い株の売却で現金も入っている。利息の増加で配当が減ることは考えにくい。
4. 為替の影響 ― 小さい
アジアなど海外の利益は円安で増え、円高で減る。一方で円安は燃料代を押し上げ、円高は下げる。製鉄や化学の顧客の業績も為替で動く。いくつもの影響が打ち消し合う形で、為替の数円の動きが利益を大きく左右する会社ではない。
5. 地政学の影響 ― 物流には逆風
第1四半期は物流の利益が14.7%減った。コンテナの取扱いが減ったためで、紅海を避ける迂回や港の混雑など、世界の海運の乱れも影響している。原油が上がれば燃料代も増える。
それでも、国内の製鉄所や化学プラントの保守は、世界の物流が止まっても続けなければならない仕事だ。第1四半期も機工の利益が14.0%増えて物流の落ち込みを補い、全社では増益だった。
ベア6. 決算見通し ― 第1四半期は増益
| 項目 | 今期(2027年3月期)の会社予想 | 第1四半期の実績(4〜6月) |
|---|---|---|
| 売上高 | 6,385億円 | 1,546億円(+0.4%) |
| 営業利益 | 470億円 | 102億円(+6.2%) |
| 経常利益 | 455億円 | 108億円(+11.0%) |
| 純利益 | 330億円 | 89億円(+40.9%) |
営業利益の進捗は約22%とやや遅いが、機工の大きな工事は完成の時期で利益が偏る。純利益が大きく伸びたのは、持ち合い株を売った約32億円の売却益があったためだ。一時的な利益なので、配当を考えるときは割り引いて見る。次の第2四半期(中間期)の決算発表は2026年10月30日の予定だ。
7. 配当の持続性 ― ここがいちばん大事
| 配当方針 | 中期経営計画(2026年度まで)で配当性向40%水準を掲げ、前年度の1株あたり配当を下限とする。あわせて2026年5月〜2027年2月に上限200億円の自社株買いを行う |
|---|---|
| 配当の推移 | 分割後で、2019年3月期 22円 → 2020年3月期 21円(減配) → 2021年3月期 22円 → 2022年3月期 22円 → 2023年3月期 30円 → 2024年3月期 34.8円 → 2025年3月期 46.4円 → 2026年3月期 49.2円 → 今期予想 52.8円(2026年10月1日に1株を5株に分割。分割を調整した値) |
| 配当性向 | 2026年3月期 約40%。今期は予想の1株利益131.67円に対して約40% |
| 現金の流れ | 2026年3月期の営業キャッシュフローは約520億円、フリーキャッシュフローは約328億円。配当の支払い(約129億円)を十分に上回る |
| 財務の余力 | 自己資本比率 53.6%・有利子負債 約1,062億円・現金 約533億円(2026年6月末) |
ベア
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ブル株人の判断:ホールドで安心か
- 配当に下限がある。今期までは前年度の配当を下限とし、配当性向は40%水準
- 二本柱で稼ぎが安定している。物流が弱い時期も、設備の保守(機工)が利益を支える
- 現金の稼ぎが大きい。営業キャッシュフローは年500億円規模で、配当の4倍ある
正直に書いておくと、配当の下限の約束は今期で終わる中期経営計画のものだ。2020年3月期には小幅ながら減配したこともある。物流はコンテナの取扱いの減少で苦戦し、借入も増えてきた。減配の心配はしていないが、次の中期経営計画の配当方針は必ず確かめる。
- 2026年10月30日の中間決算:中間配当の決議と年52.8円(分割後)の予想。営業利益の進み具合
- 物流の利益が持ち直したか、機工が好調を保っているか
- 次の中期経営計画(2027年度〜)の株主還元の方針
よくある質問
- 山九は減配の心配はありますか?
- 2026年10月時点では、減配の材料は見当たりません。中期経営計画で前年度の配当を下限とする方針を掲げ、今期は分割後で年52.8円(前期49.2円)の予想です。ただしこの方針は今期で終わる中期経営計画のもので、2020年3月期には小幅な減配もありました。将来を約束するものではありません。
- 山九の配当はいつ、いくらもらえますか?
- 今期(2027年3月期)の予想は分割後で年52.8円です。権利確定は9月末(中間)と3月末(期末)です。2026年10月1日に1株を5株に分割しているので、以前の配当(前期の246円など)とは分割後の金額で比べてください。
- 株式分割で配当は減ったのですか?
- 1株を5株に分けたため、1株あたりの金額は5分の1の表示になりましたが、持っている株数は5倍なので、受け取る配当の合計は減っていません。
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株人出典
- 山九「2027年3月期 第1四半期決算短信」(2026-07)
- 山九「2026年3月期 決算短信」・中期経営計画2026(株主還元の方針)・自己株式取得に係る事項の決定(2026-05)
- 山九 株式分割(2026-10-01)・子会社の合併に関するお知らせ
- IRBANK「山九(9065)の業績」 https://irbank.net/9065/results ・「財務」 https://irbank.net/9065/bs ・「配当」 https://irbank.net/9065/dividend
この記事は点検日(2026年10月16日)時点の情報です。数値は会社の開示資料にもとづきます。